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映画「ブルーに生まれついて」

遅ればせながらアマゾンプライムでチェットベイカーの生涯を描いた映画「ブルーに生まれついて」を酒を飲みながら拝見した。

チェットベイカーといえばカルバンクラインの下着の広告で知られるブルースウィーバーが監督をした傑作ドキュメンタリー「Let’s get lost」が素晴らしい内容でしたが残念ながら映画「ブルーに生まれついて」に関しては、あまりにも史実からかけ離れた脚色が多いのと、イーサン・ホーク扮するチェットのヴォーカルが原キーからおそらく4度ぐらい下げていることに、いまいち感情移入できませんでした。

ストーリー的にはアイドル的な人気を誇ったチェットがドラッグ絡みのトラブルで暴漢に襲われ前歯を失い唇に大怪我をしてしまうが恋人の献身的な支えを力にして再度ジャズトランペッターとして復帰する姿を描いている。

この映画の中でチェットは復帰後は技術的に落ちたとあるが、実際にはそんなことはなく、復帰後こそ全盛期だと捉えるミュージシャンも少なくない、僕もその中の一人だ。

特に最後の来日公演を録音したアルバムは、チェット本人も生涯で最高の演奏をしたという言葉を残している。

太い音色、正確なタイム感、アドリブにおける長いフレーズ、ジャズトランペッターの完成形と言っていい。

けしてチェットは暴漢に襲われ前歯を失い唇を傷め輝きを失った悲劇のトランペッターではない。

晩年は若い頃よりも魅力的な音楽を奏で、より一層ジャズトランペッターとして輝いたのです。

それとチェットが生粋のジャンキーだったのは事実のようだけど、そこにばかり焦点を当てるのもどうなんだろう、そろそろジャズとドラッグカルチャーを結びつけて考えるのは、個人的にはやめたほうが良いような気がするのですが。

さてチェットの伝記映画といえばもう一本「マイフーリッシュハート」がありますね、こちらはホテルの2階から謎の死を遂げたチェットの死の真相に迫る、ミステリーの要素がある作品のようです。

なんとなくこっちの方が僕の好みのような気がするので、近いうちに見たいと思ってます。

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ディスク岩本のジャズの穴。
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