参の節句 ゲッケイジュ 裏話(ネタバレ全開
実は3話共通のテーマが『人生を変える出会い』というものがあります。
出会ったからこそ彩られ、その彩りさえなければ耐えられたかもしれない絶望に塗りつぶされたという感じです。
以蔵は先生に出会わなければ、それなりに生き永らえたかもしれません。
ゲッケイジュの登場人物は以蔵以外は志を持って挑んでおりました
先生と精一郎は『この国を変える』という理想
新兵衛は『先生の為に死力を尽くす』という覚悟
以蔵も新兵衛と同じ覚悟を持ってると思っていました。
ですが、斬る対象が広がり、自分に近しいものに切先を向けるに連れて『自分には覚悟がない』という現実に打ちのめされ、何かに逃避しなければ自分を保てなくなってきました。
新兵衛も変わっていった先生に疑問を抱かなかったわけではありませんが『己が仕えると決めた主』のために『ただの刀でいい』という信念を貫き通した結果、苦悩を噛み殺し以蔵に切先を向けます。
先生は精一郎を手に掛けたことで何かが変わった、というよりは『ここで引いては今まで手に掛けた者達に顔向けができない』という彼なりの善意と覚悟の結果、前は許せたものが許せなくなり、二人に指示を出しました。
先生は本気で以蔵に『もういい』といったのか
『新兵衛、仕事だ』という言葉の『仕事』とは何を考えていたのかは彼しかわかりません。
しかし、先生は逃げる足を止めてでも折れた刀を拾い、以蔵の最期を看取りに来ています。
別れ際に泣いていた以蔵が何故死に際の自供であんなに悪態をついていたのか。
容赦なく精一郎を斬り捨てようとした新兵衛がわざわざ『抜け!』と以蔵に投げかけたのか。
3人の想い自体は交錯していたとおもうのですが、色んな要因でそれを見えなくなってた結果です。
ゲッケイジュは当初やる予定は無かった話で、他の2話と違ってモチーフも無かったモノです。
かおりさんと毬子さんの出演が確定したときに、イラストを描いた野中が『この二人出るなら絡ませるしかないだろう』といい『何の話やればいいのさ』と頭を抱えた私に『お前岡田以蔵好きだろう、そのあたりの話やればいいじゃん』という一言から構想が出来ました。
史実の流れは本当に触りもありません、本当にモチーフにしただけの話ですが、人間らしさを出せた話と思って割と気に入っております。
私が気に入っているセリフの一つが『パーッとやろうや!それで終いでええじゃろ?』なのですが、以蔵としてはそれで元に戻れると思ったからこそいったと思います。
その意図は二人にも伝わっていたはずですが、そのとおりにはならなかった、3人で交わした最初で最期の杯となってしまいました。
新兵衛と以蔵がいがみ合い、先生がそれを諫める
そんな日が続けばいいと以蔵は本気で思っていました。
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