参の節句『キキョウ』裏話(ネタバレ全開)

2022/10/14にやった参の節句の裏話をつらつらと

キキョウ
昔、和楽器Bar龍宮にてやらせていただいた『いせざんまい』に紅日毬子さんに初めて出ていただいたときに歌いながら間奏でセリフを言うというような演目をやった歌『ムカシガタリ』という物が元ネタ

https://youtu.be/mTVV2OZM_eA

イベント終わったあとに『あの歌を芝居でやりたい』と紅日さんにいわれ『善処します…』と言って数年経ちようやく実現しました。

桔梗は『自分は人を喰う化物である』という自覚を強く持っているけど『食わなくても死なないならならそれでいい』といった感じで生きてきた娘。

齢は20も行ってないと思います。
今でこそ『鬼に成り果てたから供養したったわ』
と何でもないことのように言ってますが、果たしてその瞬間の彼女がどんな顔をしてどんな感情を抱いていたかは彼女しかわかりません。

ですが、彼女が強く諦観を抱くきっかけになったことは間違いないでしょう。

藤袴は武家の跡取として生を受けましたが、致命的に政に向いておりませんでした。
跡目を弟に取られましたが、本人は『あいつのほうが向いとるしな』くらいにしか思っておりません。

思ったことをそのまま口に出してしまうので当然顰蹙を大いに買い、周囲との軋轢も多々ありましたが『そんなものか』と別に意に介しておりませんでしたが、跡目を弟に取られた事で馬鹿にされるのは気にならんが、勝手に哀れみを抱かれるのにイラつき、止めに『貴方こそ家を継ぐにふさわしい』とそそのかそうとしてきた連中が出てきたので『これ以上家に迷惑はかけられぬし、何より思ってもいないことを訳知り顔で語られるのが腹立たしい』とそそのかそうとしてきた奴を半殺しにして出奔したというとんでもねぇ奴です。

『人でないもの』と『人に馴染めぬもの』が出会い惹かれ合った故のあの結末です。

ふたりとも『この人と共に有りたい』と強く願ったから桔梗は『喰いたい』と思い藤袴はそれを受け入れました。

その後がどうなったかはわかりませんが、桔梗は子を産んだとして、自分たちがどのような存在であるか伝えるか、どのように育てるのか。

はじめから『化け物』としての心構えを説くのか、それを秘して育てるのか。

己の母と同じように葬ってもらうのか、その日が来る前に子の前から立ち去るのか。

それを悩む位には彼女は『人らしい』と思います。

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