1000回の夢 - 娘のソフトボール青春記
早朝の静寂を破る「スウィング」の音。
我が家の庭で、娘が黙々とバットを振る姿が見えます。
中学2年生になった娘のソフトボール部での一学期。
その日々は、喜びと苦悩、成長と挫折が交錯する、かけがえのない時間でした。
第1章:新たな挑戦 - ソフトボールとの出会い
「ねえ、ママ。私、ソフトボール部に入ろうと思うんだ」
娘がそう言い出したのは、中学入学直後のこと。仮入部で体験した楽しさが、彼女の目を輝かせていました。
しかし、実際の部活動は想像以上に大変でした。
初めて使うグローブの固さ、ソフトボールの重さ、バットの扱いにくさ。全てが新しく、全てが難しかった。
それでも娘は、日々の練習に必死に食らいついていきました。
顧問の先生や先輩たちの指導は厳しかった。
でも、その厳しさの中に温かさがあったからこそ、娘たちは成長できたのだと思います。
第2章:継続の力 - 1年生の成長
1年生の頃、顧問の先生から「部活が休みの日でも毎日素振りをするように」とアドバイスをもらった娘。
おじいちゃんからプレゼントされた素振り用のバットを大切そうに抱え、毎朝練習を始めました。
ある日、夫がイチロー選手の高校時代のエピソードを教えてくれました。
「イチロー選手は高校時代、毎晩寝る前の10分間、素振りをしていたんだって。それを1年365日、3年間欠かさず続けたんだ」
その話を聞いた娘の目が輝きました。
それからというもの、娘の朝の素振りは欠かさず続いています。
イチロー選手は、ただ素振りをするだけでなく、その時間を大切にし、集中力を高めるために毎回同じルーティンを守っていたそうです。
彼は「素振りを通じて自分のフォームを確認し、常にベストな状態を保つことが大切」と語っていました。
その言葉に触発された娘は、毎朝の素振りを単なる練習ではなく、自分自身と向き合う時間として大切にするようになりました。
第3章:挫折と成長 - 試練の時
1年生の5月、練習試合中の怪我。左手が腫れ上がり、娘の心も沈みました。
「せっかく上達してきたのに...」と涙ぐむ娘を見て、私の心も痛みました。
それでも娘は諦めませんでした。
怪我をした左手で握れないバットを、右手だけで振り続ける姿に、私は娘の強さを感じました。
第4章:本格的な挑戦 - 2年生の春
2年生になり、練習は本格的になりました。
ときには泥だらけになって帰宅することもありました。
塾がある日は帰宅後すぐにお風呂に入り、夕飯を食べる時間もないため、送りの車の中で食事をしながら塾通いの日々が続きました。
第5章:限界との戦い - 大会直前の試練
6月の大会を目前に控え、娘の体調に異変が起きました。
過度の疲労とストレスによる高熱に倒れてしまったのです。
「どうして今なの...夢が...」
スポーツ関係の仕事、憧れの大学、留学への希望。夢を追いかける中で、自分の限界を超えてしまったことに、娘は涙しました。
しかし、この挫折は大切な気づきをもたらしました。
「無理をしすぎていたんだ...体調管理も、夢を叶えるための大切な努力なんだ」
回復期間中、娘は自分の生活を見直しました。
適切な睡眠、バランスの取れた食事、効率的な時間管理。
これらの工夫を通じて、娘は自己管理の重要性を学んでいきました。
第6章:試練と成長 - 夏の大会
夏の市大会が近づいてきました。
体調が完全には戻っていないながらも、娘はセンターのレギュラーとして出場することになりました。
冬の寒い時期もチーム全員でコツコツと練習を重ねてきた成果が、ここで試されます。
試合が始まると、これまで全く手が届かなかった強豪チームと互角の戦いを展開。
しかし、途中から娘は立っているのもつらくなり、交代を余儀なくされました。
試合は最後までもつれ、さよなら負けという悔しい結果に終わりました。
チームメイトたちの悔し涙を見ながら、娘は自分の無力さを痛感したようでした。でも、この経験が彼女をさらに強くしたのです。
第7章:思わぬ展開 - 県大会への切符
敗者復活戦。誰もが諦めかけていた中、娘たちのチームは奇跡的な勝利を収めました。その結果、県大会への切符を手にすることができたのです。
娘の目は再び輝きを取り戻しました。
「やればできる」
という自信が、チーム全体を包み込んでいきます。
第8章:現実の壁 - 県大会
県大会1回戦。相手は優勝候補と言われるチーム。
練習の成果を出し切ろうと、娘たちは必死に戦いました。
しかし、実力の差は歴然。全く刃が立たず、あっという間に試合は終わってしまいました。
3年生の先輩たちは涙の引退。
娘たちも悔し涙を流しました。
しかし、この敗北が次への大きなステップになることを、誰もが感じていました。
第9章:親としての感動 - 娘の成長
娘は「できるかぎりのことはやった」と話していました。
試合に負けた悔しさはあったものの、とても充実した良い表情をしていました。親として娘の成長を感じた瞬間でした。
第10章:新たな決意 - 未来への挑戦
3年生の先輩が引退し、2年生と1年生の新体制がスタートしました。
ここからが娘の本番です。
今まで先輩たちからもらったアドバイスをもとに、次の目標に向かって動き出しました。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」
スラムダンクの安西先生の言葉が聞こえてくるようです
(引用元: スラムダンク、井上雄彦)。
娘の挑戦はこれからも続いています。
1001回目の素振り
今朝も、庭に「スウィング」の音が響きます。
「ママ、今日で1001回目だよ」
娘の笑顔が眩しい。イチロー選手の1000回を超え、自分だけの新記録を刻み始めた瞬間です。
ソフトボール部での経験は、娘に多くのことを教えてくれました。
技術の向上はもちろん、チームワークの大切さ、挫折からの学び、そして夢に向かって努力し続ける強さ。
これからも、娘の成長を見守りたい。
時に厳しく、時に優しく寄り添いながら。
そして、同じように部活動に励む子どもたちとその家族に、このメッセージを送りたいと思います。
「挫折があっても、諦めないで。1001回目の素振りが、きっと新しい未来を開くから」
娘の姿を見ていると、私自身も成長させられているような気がします。
これからも一緒に、新しい夢に向かって歩んでいきたい。
そう思いながら、今日も娘の「スウィング」の音に耳を傾けています。
部活動を始めて悩んでいる1年生のママへ
はじめに、一学期を終えた中2の成長を残しておきたいと思い、息子同様に記事を書くことにしました。
この記録が、初めて中学で部活を始め、頑張っている1年生のママへの力になれたら幸いです。
部活動は、子どもたちにとって初めての大きな挑戦です。
新しい環境やルール、先輩との関係など、戸惑いや不安も多いことでしょう。
私の娘も、最初は何もわからない状態からのスタートでした。
しかし、部活動を通じて得られる経験は、子どもたちの成長にとってかけがえのないものです。
厳しい練習や試合での悔しさ、仲間との絆、そして自分自身の限界に挑む姿勢。これらすべてが、子どもたちを強くし、成長させてくれます。
親としては、見守ることが大切です。時には励まし、時にはそっと寄り添い、子どもたちが自分の力で困難を乗り越える姿を応援してあげてください。
そして、子どもたちが挫折しても、それを乗り越える力を信じてあげてください。
「挫折があっても、諦めないで。その先に、きっと大きな成長が待っています」
私たち親も、子どもたちと一緒に成長していきましょう。