Scrt
錆び付いた鍵穴はもうどんな鍵も使えない。
引き出しの一番奥に37.6℃の微熱を閉じ込めた。流れる毎日に帯びた熱も押し流される。
与えられた未来と掴めない将来。
不透明な歪な箱庭の中で。
素知らぬ顔して混ざりあっていく。
泣いて泣き腫らした顔を必死にこねて
未来を、過去を、そして現在を、
歩いて走って抜けていく
立ち止まっても過ぎ去る風の背中を追い掛けて。
88の白黒世界が消え去っても
ぼくはきみを見付けるから
言葉にしそうな37.8℃の頬が夕焼けに照らされて色が溶けていく。
箱庭の外へと君が招かれたら
いってらっしゃいと送り出すから。
振り向かないで壁の外まで走って。
見えなくなるまで、ずっと遠くへ。
かえらないきみを探し続けて
歩き回った箱庭に
開けた空だけがけらけらと笑ってる
焦がれて削がれて
押し殺した秘密のメロディが
38℃の熱に怯えながら
88の白黒世界が消え去っても
枯れた涙の池をきみが満たしてくる
心の中のきみはぼくの秘密にとろけていくの