隣でささやく恋の唄
君はいつも隣で口笛を吹く
少し外れた音程の
ちょっと下手くそな口笛が
2人のメロディーになるならば
私は細々と口ずさむよ
朝の道 夕暮れの道
雨の日も 晴れの日も
2人でずっと歩いてた
冬の寒い日はポケットに手を突っ込んで
夏の暑い日はパタパタと扇ぎながら
ひたすら歩いたこの道を
私たちはあと何回歩けるのだろう
夕立が降るバス停
桜が散る公園の角
紅葉積もる十字路
朝は眩しい登り坂
見慣れた古い校門
車の多いコンビニ
どれもどこにでもあって
どれもどこにもなくって
当たり前だけど
当たり前じゃなくて
色鮮やかな色彩を君の下手な口笛が
音と一緒に撫でていく
私の小さな唄声は
いつも穏やかに
時に早鐘のように
君の口笛に合わせるように
トクン
ドクン
と唄ってる
ありふれた毎日の
あまりない恋の唄
叫ぶような声で唄えたら
大きな声で唄えたら
君に届いてくれるのかな
今はまだ上手に唄えないけど
いつかは届いて欲しいのに
時間は流れ
季節は移ろい
景色も変わっていくのに
2人の距離は変わらないまま
雪の積もるバス停も
枝しか見えない公園の角も
黒いだけの十字路も
今日は暗い登り坂も
錆の増えた校門も
車の減ったコンビニも
どれも変わって
どれも変わってなくて
当たり前が
当たり前じゃなくなって
変わらない2人の距離だけが
いつもここにある
いつか2人で奏でられたなら
それはきっと
距離も
時間も
関係も
変わらないはずのものが
変わったことになるならば
君はいつも隣で口笛を吹く
少し外れた音程の
ちょっと下手くそな口笛が
2人のメロディーになるならば
今日は細々と口ずさむよ
隣でささやく恋の唄を
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