人形劇
砂が運ばれて還っていくように
この心が海に溶けていくように
この気持ちもどこかへさらっていって
さざなみが足元を崩していく
ぼくの心を崩していく
告げた言葉は還らない
波のように引いては返すことはない
想いと現実が遠く離れた場所でぶつかって
さよならを告げる鐘になる
震える肩に触れられない
ぼくも涙をこらえながら
しがみつく君の涙で胸を濡らす
涙がこぼれぬように上を向いて
呼吸も忘れたように
時が止まるように
立ち止まらないで
振り返らないで
泣きながら笑う愛しい顔を心の中で抱きしめた
砂に書いた名前がゆっくり消えていくように
君の足跡だけは残されて
動けないまま
声も出せないまま
海に飲み込まれる太陽の朱が世界を染めていく
君がよかった
これからも好きだ
でも逢えない
なにも言えない
ごめん
本当にごめん
還せない言葉を砂浜にひろげて
さざなみが静かにさらっていく
さざなみ
この気持ちもどうかさらって欲しい
広い海に飲ませて欲しい
ぼくがまた明日を生きていけるように
彼女がまた心から笑えるように