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コンビニ店員さんの何気ない声掛けに心撃ち抜かれた話
コンビニでタバコを買う、番号を言って取ってもらう、ただこれだけの作業にいつも神経を
集中させている
休みの日には「レジ袋お願いします」か「○番のタバコ2個お願いします」しか発声しない事もある、あとは漫画喫茶で「○番でお願い」か
注文はタイミングが全てだ
店員さんとの空気の読み合い、一番ベストな
タイミングを見極める
この人はレジ袋聞く人か、ポイントカードの事を聞こうとしているか、バーコード通す間と間のほんの一瞬、そこに取りやすい球を投げ込む
発声も大事だ、聞き取りやすく、そして間違えないよう番号を確認して腹式呼吸で準備する…
よし…
「お煙草お取りしましょうか?」
…「あ、131番を2個お願いします」…っだと?
まさかの先手を取られた、しかも初心者マークを付けている見た目は10代のアルバイトだと?この百戦錬磨の俺が?初めての経験だ
サトリなのか?それとも目線があから様過ぎていたのか、一体何が原因なんだ
しかも完璧な敬語、俺もコンビニでバイトを
したこともあったがタバコに「お」を付けたり
「お取りしましょうか」なんて使った事がない
育ちが良い、とはこういう事なのか
察する力、何気ない敬語、先輩が教えようと
しても微妙に伝わらない、何なら一生できない能力を既に有している、若葉マークやるな
「あーすいません!」ジャラジャラ
千円札の上に置いていた小銭に気付かずに札を引っ張ってしまい、小銭がダンスった
良かった、明らかに初心者マークだ、歴戦の兵では無かった、安心して店を出る
帰り道、車の中で運転しながら考える
あの店員さんは何度かタバコを注文していた、俺を認識して声掛けをしたのだろうか
俺は常連扱いでライトに接客されるのが苦手だ
「今日はタバコはどうしますか?」と知った顔で聞かれると、その店員さんと距離を取りたくなる、優しくされると逃げたくなる
頼みたい時は頼むから勝手に毎回タバコキャラと認識しないでくれ、毎回同じフラットに接してくれと、面倒くさい性格だ、やれやれ
ただ今回は「お取りしましょうか」と問いかけだ、しかも俺が頼む雰囲気を醸し出していたのかもしれない、脱帽だ、完敗、読みきられた
あの人は何の仕事をしたとしても伸びるだろう
接客技術は回数を重ねれば成長するが、心根、言葉使い、察する能力は、できない人は一生
できない、前半の文と重複しているが、真理だ
たった一言で心を鷲掴みにされた
昨日もその事を考えていて、やっと今、文字に起こしている
さて、今度コンビニに行ったら、あの店員さんがいた場合、平常心でタバコを取って下さいと俺は言えるのか、それが問題だ