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京都から大福茶が届く
毎年、年末は、京都で過ごす。南座の顔見世をみて、大原詣。同志社大学のクリスマス・イブ礼拝、知恩院で御身拭式(おみぬぐいしき)など、京都の年の瀬を満喫していた。ところが、今年はコロナ禍で三月から京都には出かけていない。来年もいつになるのか、待ちわびている状態。
そんな中、京都で親しくさせていただいている方から、お茶が届く。
開けてみると、大福茶(おおふくちゃ)だった。これは、京都で12月になると売り出す季節物。お正月にいれて、結び昆布と梅干を加えていただく。
蓋を開けただけで、いっぺんにお正月がやってきたかのようだ。
もともと疫病退散のありがたい縁起物で、諸説はあるが、
平安時代 天暦5年(951)、京都・六波羅蜜寺の空也上人が、都に蔓延する悪疫退散を願い、自ら刻んだ十一面観音像を車に安置して市中を引き歩きました。その際、仏前に献じた小梅干と結び昆布を入れた薬茶を病人に授けながら、念仏を唱えたところ、ついに悪疫は退散。
時の村上天皇が元旦に服されるようになり、皇服茶(王服茶)の名がついた。庶民にとっては幸福をもたらすことから、「大福」の文字が当てられ、縁起の良いお茶として、お正月に飲まれるようになった。
祇園祭も疫病退散が始まり、歴史ある都には、さまざまな叡智が隠されている。コロナ禍の中、今の時代にぴったりだ。今年は買えないと思っていたのが、届いて本当にうれしかった。知り合いは、元大店の御料様。こういう粋な贈り物ができる方なのだと、感服する。
同志社大学はクリスマスミサをオンラインで開催するというし、キャンドルサービスもオンライン。今年はそういう年なのだと、改めて思う。
生活や仕事などが制限されている中、人の優しさや温かさに触れる機会が多い。ありがたいことだと、感謝しながら、残り少ない年の瀬を楽しもう。