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他人事ではないフェミニズム

『僕の狂ったフェミ彼女』ミン・ジヒョン著 加藤慧訳
読了

小説の形をとったフィクションだが、韓国社会に未だ蔓延する性差別、現実の事件のドキュメンタリーとも言える。
「普通の」韓国人の独身の男性がフェミニストになった元彼女と再会。
フェミニストの彼女の見た目、話す内容は以前と全く違って戸惑いすれ違う。

韓国の家父長制を当たり前として育ってきた主人公の男性はごく普通に同級生と同様に、誰よりも見た目が可愛く従順な女の子と結婚したいと願う。
男に頼って楽に生きていけばいいのにと男たち、親たちは思う。
フェミニズムを知ってしまい女性だから受けてしまう差別、暴力、犯罪に怒りをぶつける彼女は狂っているように見えるのだろう。

男性から見たら狂っているように見えても女性からみたら声を上げ闘う姿に敬意を払いたいと感じる。
先進国のなかで男女格差が最も大きとされる日本。
女性が男性より不利になりがちな現実はまだまだたくさんある。
日本でも女性を対象にした暴力や殺人、ストーカー事件、深刻なデジタル性犯罪は後を絶たない。

著者のあとがきにもあるように一部の男性達にとっては、「フェミニズム」は絶対悪の代名詞になっている。「フェミニズム」の毛嫌いや反発は変化を後退させる。
男女間で簡単には分かり合えないが、力で踏み躙られることなく対話を諦めず、
女性(男性も)がもっと生きやすい社会になってほしい
そんなメッセージが込められた作品だった。


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