起業に対する潜在意識
ふと「自分が起業を考えるようになったのはいつごろだろうか?」と考えることがあります。
そもそも性格的に独立志向が強かったのかもしれませんが、記憶を辿ってみるとその原点は「大学生時代のアルバイト」にあるようです。
当時は、思い出しても本当にロクでもなく、今、自分の会社に履歴書が来ても絶対に採用しないだろうと思うぐらいのクソ学生だったことは否めないのですが(苦笑)、金銭的な事情もありバイトに勤しんでいる毎日、体力にモノを言わせ多種多様のものを経験しました。
・塾の講師
・家庭教師
・建設現場
・引越し
・居酒屋
・宅配便仕分け
・宅配便配送(ドライバー)
・飲食店
・交通量調査
・新商品の販売プロモーション(売り子)
・弁当屋
など。
これらの中で、ある居酒屋での経験が強く影響しており、潜在的な意識としてインプットされていたのではないかと感じています。
その居酒屋は大阪のとある場所にあり、お客さんが7~8人座れるぐらいの小さなところで全てカウンター席です。営業時間は17:00から朝の5:00まで。開店前の仕込みと閉店後の後片付けが1時間ずつあり、自分のアルバイトの時間は平日が22:00~6:00、土日が16:00~6:00で週4回ぐらいの勤務でした。
学校を卒業する年には、昼間に研究室に行き卒業研究を、夜から朝にかけて居酒屋のバイトをし、1~2時間寝てからまた研究室というようなヘビーローテーションだったため、今思うと「いつ寝てたんだっけ??」と思うのですが「若さによる勢い」というのは良いことでもう二度と経験はできないと思います。
そんな感じのアルバイトでしたが、新規開店のスタッフとして雇って頂きました。
そのお店のマスターもそれまでは全く別の仕事をされており、飲食は初めてのご経験とのことでした。チェーンやフランチャイズではなく、まさに個人経営として開店されたので、マニュアルとかノウハウといった気の利いたものはなく、マスターと一緒に全てが手探りおよび手作りでのゼロからのスタートです。
悩みながら走り続ける日々。
お店は飲み屋街の端っこの大通り面した良い立地でしたので、一般のお客様は勿論、丑三つ時を回ると飲み屋街のお店で働いている方々もお客様として来店されるなど、客足には困らない恵まれた立地でした。
今にして思うと「飲食は立地が全て」と言っても過言ではないぐらいの客足を身をもって体験していたことになります。
そういえば、場所柄、たまに怖い方が来店され、
「おい、にいちゃん、〇〇をこれだけくれや」
と手を開いて注文されるのですが、小指が無いので、
「(4個だろうか?5個だろうか?)」とションベンをチビリそうになりながら悩むこともありました(笑
そんな感じのお店でしたので、相当数のお客様が来られるのですが、当初はお店のオペレーションがマズくお叱りを頂くこともしばしば。たまにお客様の手やモノが飛んでくる事もありましたっけ?
オペレーションが忙しくその場のことを考えるのが精一杯だったのですが、それでもお客さんの流れの合間にマスターと「こうしたら良いのではないか?ああしたら良いのではないか?」と意見を出し合い、少しずつではあるもののオペレーションの効率が向上していったものです。
また、このアルバイトを始めて数か月後には、お店の「お金回り」の全てを任せて頂けるようになり、そうなると面白さが一気に増すことになっていきます。
元々「お金」が好きな性格なのでしょうか?(敢えて疑問符)
・お客さんに来ていただくにはどうすれば良いか?
・商品の値付けはどうすれば良いか?
・どうすれば食材を安く仕入れることができるのか?
・メニュー毎にどのぐらい利益が出ているのか?
・人気のないメニューはやめた方が良いのではないか?
・新メニューを考えよう!
・この商品とこの商品の食材を共通にしよう
・このお皿はすぐにダメになるのでやめよう
・陶器のお皿を使うと洗うのに手間がかかるので、プラスチック製にしよう
・この商品とこの商品は良く一緒に注文を受けるのでセットメニューにしよう
など、どうすればお店の利益が上がっていくのか?ということで頭の中が一杯で、卒業研究なんてどうでも良い状態。勿論、ちゃんとやりましたけれども。
日々、試行錯誤を繰り返し、どんどんお店のオペレーションが良くなっていき、それに合わせて売上や利益も上がっていくのを肌で感じたものでした。
お店は先に述べた通り小さなところだったのですが、それでもピーク時には一日10万円を超える売上を上げることができるようになりました。
肌感覚でのざっくりとした記憶ですが、平均客単価=3,000円/人、平均客回転数=3.5回転/日ぐらいで年商は2,500-3,000万円程度、マスターの給与を入れない営業利益で800~1000万ぐらいは確保できていたのではないかと思われ、スポットで見ると悪くないビジネスかな?という印象です。
また、時代背景としてバブルの末期であったことも大きく影響しているのではないかと思われます。
ただ「スポットで見ると」と言った通り、飲食関係は継続していくことが非常に難しい商売。先ほど「立地が良い」と言いましたが、そんな場所なので周辺にはどんどん新規の競合店が開店しますし、お客さんが飽きる前に新メニューなどの企画が必要だったりと、カナリ大変な商売だと思います。
このお店に限りませんが、自分の肌感覚として飲食関係のお店は1年目の後半から2年目にギブアップするところが多いのではないかと思っています。
理由は、新規開店してから半年から1年ぐらいは身内や友達がご祝儀的に来店してくれるのですが、それほどリピートしてくれるものでもなく、この間に他のリピート客を掴めない場合が多いためです。
当時は、財務諸表やPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)などという言葉などは全く知らず、粗利や固定費、変動費、FL比なんてものも頭の中にはありませんでしたので「ビジネス」や「経営」というよりは「商売」の面白さを味わったのだと思います。
また、新規開店のスタッフとして雇って頂いたので「ゼロから立ち上げていく面白さ」を実感し、その感覚がずっと身体に染み付いていたことは、後々の自分の方向を決める上で大きな影響を与えていたものと感じている次第です。