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事務所へのアコガレ

起業の具体的な準備活動に入ると「事務所を構えたい!」という気持ちが芽生えてくるものです。

お客さんや協業仲間に対して少しでも自分の会社を良く見せたいと想うのも人の常というもので、この時期にこのような妄想ができるのは起業の一種の醍醐味なのかもしれません。

自分も準備期間の最初の頃は「小さくても良いので事務所を構えたい」と思っていた時期があるのですが、いろいろと物件を調べていくうちに、

「確かに事務所を構えたいという気持ちはあるのだが、それが幾らの売上につながるのだ?自己満足で終わってないかい?」

と自問するようになりました。
あれこれと物件を調べている間に冷静になったのだと思います。

その時は、製造業向けのコンサルティングをメインにするつもりでしたので、基本的にお客さんのところに行くケースが多いでしょうし、それ以外は自分の家で仕事をすれば良く、特に事務所が必要という訳ではありません。例えば、事務所やその他水道光熱費等の経費で月に10万円(東京)ぐらいかかるとすると年間約120万円。粗利率が100%ののビジネスであればそのままの数字、50%であれば240万円の売上が必要で、起業直後にこの金額を負担するのはかなり無理があり、それならば生活に直結する自分の給与を優先させるべきです。

そんな訳で、起業準備の段階で「事務所を持つ」という考えは捨てましたが、登記はしなくてはならないので別の方法、即ち「〇〇オフィス」を検討するようになりました。
自宅で登記をするという選択肢もあるにはあったのですが、不用意に自宅の住所をさらすことに抵抗があったことや借家だったのでオーナーへの交渉、引越しの度に変更登記をしなくてはならないことに不都合を感じたため選択肢からは外しました。

ちなみに自分は現在家を買ってローンを抱えることを避けるいわゆる借家派です。そもそも、自分の家を持つことに執着心がありませんし、ビジネスの展開次第ではどこに住むかわからないので、動かせないもの、つまり不動産を抱えることはとても重荷に感じてしまいます。

以前、30代の時は持ち家でローンを抱えており、起業を意識し始めたごろにこの持ち家を売却をしようと試みたのですが、その時の景気の状況もあり、なかなか売却できず借金を抱えてしまうという散々な目に合ったという背景があったためです。

さて、話は戻り、この「〇〇オフィス」ですが、いろいろ調べていくと大きく以下のような種類があることがわかりました。

(1) 登記のための住所貸しと郵便物の転送を行ってくれるところ
(2) (1)+フリースペース(作業場所)を備えたところ
(3) (2)+時間貸しの会議室を備えたところ

これらの明確な定義はないのですが、(1)はいわゆる「バーチャルオフィス」、(2)(3)は「レンタルオフィス」などと呼んで区別しているようで、利用料金は当然(1)->(2)->(3)の順に高くなっていきます。

 「バーチャルオフィスだと後々不都合がでないだろうか?」
 「フリースペースがある方が便利だしな~」
 「たまにはお客さんが来るかもしれないので時間貸しの会議室も・・・」

 「えい!面倒臭い、百聞は一見にしかず、見に行く方が早い!」

ということで、その時一番気になっていた(3)のタイプのレンタルオフィスを見に行くことにしました。

そのレンタルオフィスは、登記(本社の住所貸し)とフリースペースの使用(時間の制限あり)で月に¥7,000ぐらい。その他、1時間当たり¥500の会議室を備えています。勿論、郵便物の受取りと転送もしてくれます。

そのレンタルオフィスの受付にて、

自分:「こんにちは。見学の予約をしていました〇〇ですが」
オフィス:「お待ちしていました、こちらへどうぞ。」
(フリースペースへ案内される)
自分:「(決めた!)」

と言った感じで一目惚れしてしまい、フリースペースを見た瞬間に契約を決めてしまいました。
相変わらず気分が高揚していたことや完全な直感で決めたのは否めないのですが、起業後に走り始めると、想定していたものとは異なるビジネスも行うことになり、そのため来客が多くなったことや荷物を受け取った後の諸作業が発生することにより会議室やフリースペースを使う頻度が高くなり、このレンタルオフィスに決めて正解だったと思っています。

このレンタルオフィスは引き続き利用しているのですが、さらに別のビジネスを行う機会に恵まれたことで家以外のスペースが必要になり、現在は同じビル内のワンルームを借りて事務所にしています。

自分としては結構この形態が気に入っています。
事務所(ワンルーム)は本業のためだけに使用することができますし、来客や協業会社との打合せのための会議室や郵便物、荷物の受取りは流動化、即ち、使った分だけ支払うことができるため非常に効率的だと思っています。

また、本社の登記はレンタルオフィスのままにしていますので、会社の調子が悪くなった時には固定費削減のためには事務所(ワンルーム)を引き払うだけでよく、登記やその他の住所変更をしなくても済むというリスク対策にもなっています。

このように、事務所に関してはいろいろな選択肢がありますので、起業前にじっくりと検討されることをお勧めします。

キーワードは「身軽さ」です。

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