
あなたのものがたり9(2023.12.31加筆修正)
あんた
何にでも
名前はあるって
言ったわよね
あたしも
名前を付けるわ
「ストーン・フリー」
あたしは・・・
この「石の海」から
自由になる・・・
コヤマのものがたり コヤマとナカイさんとキタムラさん
タナカさん、ほんまにスズキ君、好きなんやな
ミュータントの話で盛り上がった後、シアトルホームステイ定例会で、コヤマは呟いた。
目の前で、ナカイさんとキタムラさんが、ヨシイくんについて話している。
「王さんかっこええわ~。それにおもろい。見た、あの変顔?」
「みたみた。あれはほんまにおもしろかった。」
優雅な足さばきで自転車を押すキタムラさんと、上気した笑顔でヨシイくんについて熱弁を振るうナカイさん。
なあなぁ、スズキ君どう思う?
「あ~タロちゃん?普段もなかなかやけど、たまに王さんくらいかっこええな。サムライって感じ。森蘭丸みたい。」
「あ~タロ君?確かになぁ…。頭ええな。隙がない」
…あのな…
(タナカさんと、おそらくスズキ君も、愛し合っている…)
(なんて、いえへんなぁ…)
(それにしても、何であんなオタクっぽい人好きになったんやろ。シアトルにいたころは、眼鏡もかけてたし…銀縁の)
「こやみんぐ、もしかして、好きなん?」
ナカイさんが茶化してきた。
ちがう~~!
「その、典型的な好きなサイン、コヤマらしいなぁ!」
優雅に掌を口に当てて、キタムラさんがのけぞった。
曲がり角から、我が目を疑う美男子が現れた…
ここから先は
3,816字
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?