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ナナとミライの占い探検記 vol.4 - 西洋占星術神話編 〜シンボルに宿る力〜

第一章:シンボルのチカラ

 秋の夕暮れ、どこか物寂しい風が吹く帰り道。ナナは、ふと思い出したように呟きました。
「ねえ、ミライ……私、最近数字とか周期の話を友だちにしても、『なんか難しくてよくわかんない』って言われちゃうんだよね」

 隣を歩くミライは、占いノートを抱きかかえながら微笑みます。
「まぁ、小学生にはちょっとピンとこないことも多いかも。だって数字の話って、どこか理屈っぽいでしょ?」

「うん……私、自分では『占いって数字や周期を追うのが面白いんだよ!』って思ってるんだけど、同級生にどうやって説明すればいいのかわからなくて。実際、占いが『当たる』とか『不思議だね』みたいな話は盛り上がるんだけど、“なぜそんなふうになるのか”を数字で話そうとすると、みんなポカーンとしてる感じ……」

「なるほどね。数字や周期って、大人でも少しハードルが高いと感じる人がいるくらいだから、小学生にとっては尚更かもしれない」
 ミライはあいづちを打ちながら、ふと考え込むように視線を落としました。

 そんなミライの横顔を眺めながら、ナナは何か思いついたように言います。
「でもさ、占いって数字だけじゃなくて、物語とかシンボルもあるよね。前にタロットで学んだ“愚者”とか“女帝”とか……ああいうイラストのおかげで意味が理解しやすかった気がする!」

「それだよ、ナナ。私もね、最近は“シンボル”って大事だなって思ってる。タロットカードも神話をもとにした絵柄が多いし、西洋占星術だって星座の神話を知るとイメージが広がるんだよ。数字の原理だけじゃなくて、シンボルの物語があるとストーリーで理解できるから、わかりやすいし説得力も増すんじゃないかな

「そっか……たとえば、さそり座には“オリオンを刺したサソリ”の神話がある、とか言ってたよね。私、あんまり詳しくないから、ちゃんと学んでみたいかも!」
 ナナは急に目をきらきらさせ、ミライに向き直ります。

「うん、西洋占星術には十二星座それぞれにギリシャ神話やローマ神話などが関連してるし、その星座を支配する惑星(ルーラー)にも神話的な背景がある。数字と同じくらい、シンボルの世界も深いんだよ。じゃあ今度は、『西洋占星術神話編』と題して、それぞれの星座や惑星の物語を学んでみよっか!」

「やったー! それなら友だちにも説明しやすいかもしれない! 私自身も、神話ってちょっと憧れがあるんだ。なんだかファンタジーみたいでワクワクするし……」
 こうして、ナナは再び西洋占星術の世界へと戻り、「シンボル」に焦点を当てた学びをスタートすることになったのでした。


第二章:四エレメントと三区分(クオリティ)

 週末、ナナはミライの家へやってきました。リビングのテーブルには、十二星座を一覧にした大きなポスターが貼られており、その下にはノートや神話の本がずらりと並んでいます。ミライはそこに色とりどりの付箋を貼りながら、「四エレメント」と「三区分(クオリティ)」を説明し始めました。

「まずは十二星座の大まかな分類から押さえちゃおう。西洋占星術だと、星座を4つのエレメント(火・地・風・水)と、3つの区分(活動宮・不動宮・柔軟宮)に分けることが多いの。たとえばさそり座は“水”のエレメントで“不動宮”にあたるよ」

「へえ、なんで水の“不動宮”なんだろう? 私自身、性格がぶれやすいと思ってたけど……」とナナは苦笑い。「でも、不動宮って確かに“粘り強い”とか“こだわりが強い”って意味もあるんだっけ?」

「そうそう。水のエレメントは“感情”や“共感性”を表すことが多いんだけど、不動宮という性質が加わると、“深く揺るぎない感情”として現れる場合がある。もちろん個人差はあるけどね」

 ミライはポスターを指しながら、エレメントごと、区分ごとに星座をまとめていきます。

  • 火のエレメント(おひつじ座・しし座・いて座)

    • エネルギッシュ、直感的

  • 地のエレメント(おうし座・おとめ座・やぎ座)

    • 現実的、堅実

  • 風のエレメント(ふたご座・てんびん座・みずがめ座)

    • 思考的、コミュニケーション

  • 水のエレメント(かに座・さそり座・うお座)

    • 感情的、共感力が強い

そして、それぞれに「活動宮(カーディナル)」「不動宮(フィックス)」「柔軟宮(ミュータブル)」が割り振られています。例えば、「おひつじ座は火の活動宮」「しし座は火の不動宮」「いて座は火の柔軟宮」……という具合。

 ナナは自分のノートにそれをきれいにまとめていきながら、「数字と同じくらい、こういうシンボリックな分類も覚えるのって大変そうだけど、覚えたら面白そう」と感想を漏らします。

「うん。しかも、ここに神話が絡んでくると、もっと“イメージ”が広がるよ。たとえば“おひつじ座”には、金の毛を持つ羊の冒険譚があるし、“しし座”にはヘラクレスの十二の功業の一つで登場する“ネメアの獅子”の伝説があったりね。各星座には神々や英雄の物語が紐づいているから、それを覚えると自然に星座の性質をイメージできるようになるんだ

「なるほど……確かに、物語があると『この星座はこういう役割を持ってるんだな』ってイメージしやすいね」
 ナナはワクワクしながら、“シンボル”という新しいキーワードを受け止めました。


第三章:十二星座の神話をざっくり俯瞰

「じゃあ、このまま一気に十二星座の神話をざっくり俯瞰してみようか!」
 ミライは大きなファイルを開き、1枚ずつイラスト入りの解説を取り出します。

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