自著紹介 『心花堂手習ごよみ』
自著紹介6日目は『心花堂手習ごよみ』(三國青葉 2018年6月 角川春樹事務所 時代小説文庫 装画:丹地陽子さん 装幀:かがやひろしさん)です。
三國が塾をやっているので、寺子屋が舞台の物語をと、担当編集さんにご提案いただきました。プロットを立てる際いろいろ調べていて、江戸時代の女子校を書こうと思ったのです。
時代小説初心者の方にも、お楽しみいただける作品になっております(^^)
日本橋の小松町にある「女筆指南心花堂(にょひつしなんこはなどう)」は、匂坂初瀬が師匠を務める、女子だけを集めた手習い所。ながらく師匠を務めていた伯母が倒れたため、初瀬は務めていた旗本の奥祐筆を辞め、心花堂を継ぐこととなった。しかし習うと教えるは大違いで、初瀬はとまどう。大店の娘で我儘なお千代を叱ったことがきっかけで、四人を残してすべての筆子に去られてしまう。けれども厳しいながらも信念を持つ伯母や、住み込みで働く政吉にお藤の力添えで少しずつ、筆子たちの信頼を取り戻してゆく。移ろいゆく江戸の四季の中で、心花堂と筆子たちの事件を解決していくなか、やがて初瀬にも恋の訪れがきて……
(裏表紙のあらすじより)。
作中に『倒署(とうしょ)』というのがでてきます。手習い所の師匠が生徒の字を直すとき、向かいに座ったまま逆さまに字を書いたのだそうです。つまり、子どもの側から見て正しく読めるように書く。これを倒署といい、これができない師匠はもぐりと言われても反論できないくらい必須の技だったとのこと。これ、資料で見たときびっくりしたんです。だって、筆文字ですよ?私も塾で机を回って生徒のノートに逆さに字を書くことがあったのですが、方程式などで数字とアルファベットを書くのがやっとでした。倒署は、大勢の子どもの書を一度に直すのに都合がよかったというのですけれど、昔の人はすごい!
それから、やっぱり、塾の教師としての自分の信条とか、生徒たちへの思いとか、ついつい出てしまっていますね~(^^)