エミューの父ちゃん
ずっと以前にテレビで見たのですが、エミュー(ダチョウみたいな感じのオーストラリアの鳥)は、オスが2ヵ月近くも卵をあたため、雛も育てるのだそうです。
あるオスが6個の卵をあたためていましたが、ちょっと外出したすきに、他のエミューに3個食べられてしまいました。
でも3個はちゃんとかえってかわいい雛に。エミューは砂漠をあちこち移動しながら生活するので足がすごく発達していて、生まれてすぐ立って歩いていました。
で、ちょっと大きくなると旅の生活に戻るのですが、3羽の雛のうち1羽が迷子に。
雛は父ちゃんを捜しまわったけれど見つけることができません。どうなるんだろうと思っていたら、別のエミュー父ちゃん&5羽の雛ファミリーが通りかかりました。
迷子雛は父ちゃんに向かって鳴きました。でも父ちゃんは知らん顔。そりゃそうですよね。だってよその子ですもん。
すると、迷子雛がするっとファミリーの中へ。みんないっしょぐらいの大きさなので、一瞬のうちにどれが迷子雛かわからなくなってしまいました。
父ちゃんは別にとがめもせず、6羽の雛を引き連れてどこかへ去っていきました。
子育て中のエミューの父ちゃんは、こうやってよく迷子雛を引き受けるらしいです。たいていの場合、受け入れてもらえるとか。
なんと50羽もの雛を引き連れている父ちゃんもいるそうな……。
1羽、2羽なら増えてもわかんないだろうけど、50羽となると、さすがに増えたのは鳥さんでも認識できるのではないでしょうか?それとも、一度にじゃなくて、徐々に増えるからわかんないのかなあ。でも、何かの拍子にうしろを振り向いたときに、すごい長い列になってますよねえ。
あ、もしかして
「うちの子、こんなにいっぱいいたっけ?……ま、いっか~~(^^)」って思ってるとか?(笑)
そういえば塾の男子高校生M君の家のネコが子ネコを4匹産んだことがありました。母ネコは一生懸命子育てをしていましたが、子ネコたちもだいぶ大きくなったので、ある日、産室から引越しをしました。
まず1匹目の子ネコをくわえて物置へ。M君は産室で待っていましたが、いっこうに母ネコは戻ってきません。
心配になって物置に行ってみたところ、母ネコは、引越しが無事に終わってよかったわと、すっかりくつろいで毛づくろいをしていたそうです。心優しいM君は、3匹の子ネコを運んであげました。
M君は感慨深そうに言いました。
「先生、ネコって数かぞえられませんね」
でも、迷子になった子ネコをお母さんネコが必死に捜してたりするから、M君ちのネコは彼の優しさを賢く利用しただけだったのかもしれません。
エミューの父ちゃんはおそらく数がわからない。でも、それが迷子雛にとって、そしてエミューという種にとっても、恩恵のような気がするのです……。