「強み」は見つけるより、好きなことを見つめ直した方が、きっと早い。
「あなたの強みを見つけましょう」
……でた。お決まりの成功哲学。
そう思ってしまうのは、私の悪いクセかもしれない。もしくは、悩んでいた時期に自己啓発本をこれでもかと読み漁っていたせいかもしれない。
この言葉で、前に進める人はたくさんいるんだろう。けれど私自身は、強みが見つかっても前に進めた試しがない。だからこの言葉に、いつもちょっとした拒否反応が出てしまうのだ。
「強み」が分かっても前に進めない
なぜこんな話をするかといえば、まさに今この「MIKUNI」という人物が書いているnoteを、どう方向付けていこうか悩んでいたからだ。
もちろん、好き勝手に思ったことを書いていくのも悪くないとは思う。けれども、ある程度は方向性が決まっていた方が読者も分かりやすいと思うし、自分自身と向き合うきっかけにもなると思ったから。
そんなわけで、改めて自分の強みというものに向き合おうと思うのだけれども……私はいつもそうなのだ。自分の特徴がありきたり過ぎて、「強み」に昇華できないという問題にぶち当たる。
例えば「ピアノが弾ける」という特徴が私にはあるけれど、じゃあライターと音楽を掛け合わせて仕事にしようかと思うと、そうは思わない。それにピアノは5歳の頃から続けていたにも関わらず、未だに下手で到底お聞かせできるレベルではないのだ。
こんな風に強みが見つかったところでレベルが低く、「やりましょう」となる前に「明らかに無理だろ」と心がブレーキをかける。そんな風に、いつも嚙み合わないのだ。
……情報が溢れている世の中にも関わらず、この問題について今も議論されているということは、もしかしたら私と同じ悩みを持っている人も一定数はいるのではないだろうか。
「強み」という言葉が分かりづらい
ところで「強み」という言葉は、すごく曖昧ではないだろうか。ものさしが分かりづらいというか、「何に対して」強いのかが分かりにくい。
悪気はないとは思うけれど、この言葉自体も思考を混乱させている原因になっているのではないかと思う。
そして私は発見したのだ。この言葉は2つの違う立場の人間に対して使われているからますます混乱する。だから「強み」の基準がごっちゃになって、分かりにくくなっているのではないかと。
その2つの立場というのは、就活生(または就活中のビジネスマン)と個人事業主だ。ここは混同してはいけないので、自分の備忘録も兼ねてメモしておく。
就活生と個人事業主の「強み」の違い
どちらも、自身の特徴を見つけるという意味では間違いない。けれど1人が多数の中に混ざるのか、多数の中から1人突き抜けるのかでは「強み」の見つけ方は全く違う。
就活中の人が見つけるべき強みというのは、企業に自分の良さをアピールするためのもの。
「○○でNo.1になりました」といった明確な成績から、「協調力があります」といった自身の性格まで、具体的なエピソードを添えながら組織に加わるメリットを相手に提示する。
それとは変わって、仕事に個性を盛り込みたい人にとっての強みとは、オンリーワンを見つけるために必要なものだ。
「シングルマザーで社長」といった明確な履歴から、「○○の知識が豊富」といった自身の特徴まで、自分にしか持っていないカラーを再発見する。
就活中の人が企業に「シングルマザーで社長になりました」と言ってもあまり響かないように、個人事業主が「協調性があります」という一面を押し出してもあまり効果がないように、「強み」は見せる相手を明確にしないと的外れになってしまうことがある。
この違いを知っておくことは、とても重要なことだと思う。
オンリーワンはどこにあるのか
ところで「MIKUNI」が今、見つけたいと思っているのは後者のオンリーワンの強みなのだけれども……ここで話を冒頭に戻すと、私はいつも自分の特徴が「強み」に昇華できないという問題にぶち当たる。
実はこれは、私の性格の問題も含んでいる。これまであまり成功体験を経験してこなかった私は自信があまりない。だから人より秀でたものを見つけようとすると、まるで座礁した船のように先が見えなくなってしまうのだ。
そんな私がオンリーワンを見つけるために注目したのが、いや、注目せざるを得なかったのが「好きなこと」だ。
好きなことを見つめ直してみる
好きなことというのは、芸術と同じように優劣が付けにくい。ゴッホとモネのどっちが優れているかなんて分からないし、向日葵と睡蓮のどちらが美しいかなんて優劣は付けられない。
だから優劣の枠を取っ払うという意味でも「好きなこと」を見つめるのは、良いことだと思う。
そこでこのライターとしての「MIKUNI」は、どんな文章を書くのが好きなのだろうか考えてみた。
ちょっとした違和感があれば、上から目線で意見を言いたくなるところだろうか。リアルでは人の意見に合わせる性格だから、ネット上で自分の意見を言いたくなるところだろうか。
……お、ちょっと見えてきたかもしれない(笑)
好きなことの見つけ方
これを読んでいる人の中には「好きなこと」が分からない人もいると思う。私もその言葉に何年悩んできたか分からない。けれど悩んだなりに、ちょっと前に進める言葉を知っているので、伝えておこうと思う。
昔、自己啓発本で「お金を払ってでもやりたいことが、好きなこと」と言われたことがあった。私はこの表現にいまいちピンとこなかった。けれど今の私なら、こう言えばピンとくる。
「お金を貰えなくても続けたいと思うことが、好きなこと」だ。
つまり「MIKUNI」の場合は、お金が貰えなくても言いたいことがたくさんあって、それを文章にまとめて発信したい人物。
それは日々思ったことだけじゃなく、昔の悩み多き自分に、本には書いていなかった「前に進む方法」をアドバイスしたいがために、書いているのだ。
……ということで、この文章を書いているうちに自分の特徴をひとつ見つけたのだけれども。これはあくまで私が前に進むための「ガソリン」であって、強みとは言いにくい。
けれど車はガソリンがないと前に進まないのだから、これからこの情熱にぴったりな強みを見つけていけばいいのではないだろうか。
たとえ「強み」という車がポンコツでも前に進めるなら、ガソリンのない立派な車よりはいくらかマシなのだから。
人より多くを経験できる「強み」
「強み」を見つけろと言われるより「個性」を見つけろと言われた方が、ちょっとだけ心のハードルは下がる気はする。
けれど人に誇れる個性なんて自分にはないと思う人も、まだまだ多いと思う。そんな時は「好きなこと」を先に見つめ直してみるといいかもしれない。
好きということは何度も繰り返しているはずだし、それなりに知識も持っている。つまり人より多くを経験しているという「強み」が見つかりやすいのではないかとも思う。
ただし、すぐに全ての個性のが明らかにならないことも、念頭に置いておくといいかもしれない。私も今回で全てが見えたわけじゃない。だから何度も繰り返したり、別の視点から注目して、さまざま角度から見つめ直していくことが大切だと思っている。
辛いことなら、繰り返すのは苦痛になる。けれど好きなことなら、何度やっても楽しいから平気だ。だから私も、文章を書きながらもっと「強み」を再発見したいと思っている。
時間はかかるかもしれないけれど、少しずつ。急がば回れとはよく言うけれど、無理やり引っ張り出すよりは「強み」が早く見つかりやすいのではないかと、私は思う。