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おばあさんとの1分の思い出
うちのおばあさんの90歳になったその日の約1分のこと。
忘れたくなくて、でもいつまで覚えておけるか不安だから、ここに記しておこうと思う。
2021/5/8、うちのおばあさんが90歳になった。
それから2日後の今日5/10の朝、彼女が息を引き取ったと、祖母の娘である母からの連絡が。
年々、体が小さくなったなぁとは感じていたし、コロナ禍で会う頻度やタイミングを見計らうのを葛藤しながらも、会いにいった別れ際には、もしかしたらこれが最後かな?なんて少し思うことはあった。そんな覚悟も必要なほどに歳を重ねているし、すごいなぁ、気をつけてね、と。
そんな祖母の90歳の誕生日である5/8。
二拠点の地元ではない片方のまち、宮城にいた私は、電話でせめてお祝いを伝えようと思っていたものの、来客の対応をして、やり残してしまった仕事をし終え、すでに19時をまわっていた。
最近では18時過ぎには寝てしまうという祖母のこと。でも、ダメ元で電話してみよう、90歳の誕生日なんて記念すべき日に試みもせずお祝いできなかったら後悔する、と。
スマホの電話帳に頼らずとも押し慣れた10個の数字を押し、5コールほど鳴ったとき声が聞こえた。
わたし「もしもし。起きとった?」
おばあさん「ちょうどトイレ行ったもんでね、電話の横通りかかったんだわ」
わたし「おー、それは良かった。今日お誕生日でしょ?90歳。すごいじゃん。おめでとう!」
おばあさん「そうそう。お祝いに洗剤もらってね。(どうやらボディーソープ。洗剤っていっちゃうのかわいいやん)うれしかったわぁ」
わたし「うれしいもんもらえて良かったねぇ。」
おばあさん「で、あんたどこにおるの?」
わたし「まだ宮城におるもんでさ、でも週末には豊田帰るで、直接お祝いしにいくわ。ちょっと待っとって」
おばあさん「おぉ、そりゃありがたい、ありがたい。待っとるねぇ。」
そんな感じの会話だった。
いつものトーンの会話。
90歳の大往生のプレゼントが決めきれず、考えながら帰って、物と何か体験でもあげようかなぁなんて思いながら寝床についた。
それから24時間も経たないうちに、喉に物を詰まらせてしまい、うちのおばあさんは意識を失ってしまった。
そして、今日の朝、きっとおじいさんの待つ向こうの世界へ行ってしまったらしい。
当たり前に来ると思ってた今週末の再会が、びっくりしてもしきれないほど急に来なくなってしまった。
お守りがわりに買い込んだ、コロナの抗原検査キットもPCR検査キットも、机の上で行き場を失ったように転がっている。
今思えば、何かの虫の知らせだったのだろうか。
おばあさんの90歳になったその日の約1分のこと。
明日、帰ります。
待っててね、おばあさん。
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