見出し画像

新潟劇王観劇のすゝめ

実行委員を務めている「第1回新潟劇王」の本番が明後日から始まります。
本日劇場入り、仕込日でした。

新潟劇王は2015年から新潟古町えんとつシアターで開催されていた「えんとつ王決定戦」をリニューアルし、りゅーとぴあで開催されるイベントです。
劇王は劇作家協会東海支部が愛知県で始めたイベントで、全国各地で開催されており、新潟版が「えんとつ王」改め「新潟劇王」というわけです。

上演時間20分以内、役者3名以内等の共通ルールの下、参加団体がオリジナル脚本を上演し、審査員と観客の投票で一番面白かった団体=「劇王」を決めます。
通常の上演では勝敗の定まらない演劇ですが、ビシバシ審査員の講評を受け、得票数ではっきり勝敗が決まるイベントです。

私はカントーで大学生をしていた頃に、(おっ新潟でなんか始まったぞ)と存在を知り、Uターン後2019年に第5回えんとつ王を初観戦し、なんやかやで実行委員に名を連ねさせていただき、初の運営側となります。
えんとつ王に参戦したり、運営したりといった経験が無く、お客さん側から見たえんとつ王しか知りません。

というわけで、ただシンプルに観客側としてえんとつ王を楽しんだ個人的な経験をもとに、新潟劇王の観劇をおすすめしたいと思います。



私が観客として第5回えんとつ王を観た感想
(ちなみに観たのは予選のAブロックとCブロックのみです。決勝はシウカツしてた。)
それは、

このイベント、観客として勉強になるな~!

いや、もちろんお芝居としてすなおにめちゃくちゃ楽しんだ作品もあったし、(ぶっちゃけ、つまんねーな好みじゃねーなって思った作品もあったし、)観劇をそのまま楽しんだ部分もあります。

でも、それ以上に、一定のルールのもと複数の作品を見比べることで、自分が何をおもしろいと感じて何をつまらないと感じるのか、何が好きで何が嫌いなのか、どんな芝居が観たいのか、どんな芝居がつくりたいのか、芝居を観るとき何を重視するのか、何に心が動くのか、何に惹かれるのか、芝居を観ることに何を求めているのか、そういったことが自然と炙り出されるのがおもしろかった!

そんでこのイベント、何がいいかって、豪華審査員がリアルタイムで、肉声で、1つ1つの作品にがっつり講評を伝える時間があるのよ。
(演劇も生!イベントも生!何が起きるかわからん、わくわくするね~)

だから、経歴も好みもバラバラな審査員が、私が観てなにかしら感想を持って投票を行なった同じ作品たちを同時に観ていて、たったいま感じたことを、良いことも悪いことも聞かせてくれるわけです。
そしてこの講評がアツいんすよ。厳しさと愛、冷静さと情熱がすごい。

審査員の講評を聞くことで、自分には無かった色んな視点からその作品が見える。
でも、審査員が複数居て、それぞれの意見や好みを話してくれるから、ある一つの観方だけが正解じゃないんだって安心する。


私は演劇を観ることが好きな観客として、もっと解像度高く、色んな視点で観れるようになったら楽しみ方が増えるんだろうな~、と思うし、感想をもっと豊かに言葉にできたらいいのに!と常々思っている。

いや、演劇に限らずだけど、好きなものには好きって言いたいし、伝わるように言いたい!
頭から胸までぱっかーんって開いて、嘘偽りないそのまんまを差し出せたらいいのにってよく思う。でも、ぱっかーんって開けないから、言葉を尽くす。尽くせるようになりたい。
他でもないこの芝居が、あなたの演技が、好きだったこと、どこがどんな風に好きだったのか。
楽しませてくれた本人に届いたらうれしい。届くように言えるようになりたい。

それに、好きなものは応援したい。
私が好きなものに好きなんじゃーって言って、誰かがつられて楽しんでくれたらうれしい。そういった連鎖の積み重ねで、好きなものが続くことの糧になれたなら、めちゃくちゃ嬉しい。

そのためには、感じて考えてそれを言葉にすることが必要で、審査員の方々の講評は、大変その道筋の参考になる。
だから、このイベント、参加団体だけでなく、観客が成長できるイベントなのでは、と、観客だった私は思ったのだ。

もちろん、個人的に私がこうなりたいな~という話なだけで、言葉になんない・言葉にしない感想や感覚もまた尊い。

参加団体もお客さんも、フリーダムに好きなように楽しんでいってほしい。
祭なので。

短編作品で気軽に、色んな演劇団体を一気に観れる機会なので、演劇ってどんなだろ~って方にも、好きな劇団見つけたい方にも、新潟で演劇始めたい方にもおすすめ。

作品が好きだった団体も、好みじゃなかった団体も、それぞれに目指す演劇があり、講評や投票のプレッシャーに怯まず果敢に挑戦した姿が、頼もしく格好良かった。
参加団体の挑戦の場となり、観客の成長の機会になるイベントが新潟でやっていてくれて嬉しかった。

それが初めて観たえんとつ王の印象だった。


2020年、開催予定だった第1回新潟劇王は中止となった。

2021年、依然状況は厳しいが、第1回新潟劇王は開幕を迎える。

大都市圏より感染者数は少ない地方都市でも、コロナ禍で演劇をつくること、演劇のイベントを開催することに、どこかでずっと後ろめたさがある。

それでも、法令に抵触しない限り、演劇をしたい人はできた方がいい、観たい人は観れた方がいい、と私は思う。
私はやっぱり、今の暗い世の中の雰囲気でも、暗いまま続く繰り返しの日常の中でも、演劇を観ることに、つくることに、救われている。自分の生活の、光になっている。
けれど、たしかに、私が演劇に関わることで、生まれる感染リスクもある。
だから、後ろめたさも申し訳なさも抱えたまま、自分の責任で、覚悟を持って、やることを選びたい。

絶対観に来て、なんて言えない。
それぞれの職場環境や家庭環境、価値観がある。

ただ、少しでも観たい気持ちがある方がいるなら、その方が少しでも安心できるように、できるかぎりの感染対策をしてお待ちしたい。

コロナ禍で、新潟の演劇がしぼんでしまったら寂しい。

新潟劇王が、参加団体にとっても、お客様にとっても良い時間になりますように。


当日券もあります。

5月4日・5日、一緒に、新潟劇王を楽しみませんか。



画像2

画像1



いいなと思ったら応援しよう!