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miku-labo ハナレ改装記 その1
合同会社みくラボは、御蔵島に調査研究のために来られる方々を支援する会社です。業務を通じて、御蔵島に関する科学的な知見を島民に還元することを目的としています。
春から秋にかけて、宿泊予約が非常に困難な御蔵島。
特に、調査目的での来島のボトルネックは、交通の不便と宿確保の困難に極まります。
そんな状況を少しでも改善すべく、宿泊施設ハナレの改修計画を2024.12.12 着工しました。
座右の銘「記憶より記録」のとおり、ここnoteに改修工事記録を綴ります。
記事は下へ行くほど古くなります。
2024.12.20
改装工事9日目
21日より出島したため、年明け8日までは改装記はいったんお休みに。ただし、大工さんは島に残って作業くださっています。
今回は、この1週間で出てきた疑問や伏線を回収する記事にします。
○12.16の記事より「素顔の美を増す」
そのまま検索すると「中山太陽堂」という化粧品会社がヒットしました。
明治時代に創立された会社らしく、今では株式会社クラブコスメチックスという社名になっています。
その会社の主力商品、クラブ洗粉の宣伝文句だったようです。だれか、島のおばあちゃん(当時はお姉さんだったかもしれない)が、箱で買っていたのかな?
仏壇の横板になろうとは、創業者の中山太一さんもびっくりでしょうね。
○12.17の記事より「小室工務店」
19日の記事でも出て来て、練馬区と北区に同名の工務店がある、としていましたが、元の持ち主さんに聞いたところ「あー、懐かしいなぁ。三宅にあった(まだある?)工務店だよ。」と教えてもらいました。
○12.18の記事より「床下の竪穴」
島の郷土歴史に詳しいI先生に聞いたところ「あ、それは貯蔵庫だよ。昔は、サツマをたくさん貯蔵していたからね。畑の斜面に横穴を掘る貯蔵庫もあったけど、それはネズミ被害が多くて。」とのことでした。
漬込み酒や梅干しの貯蔵庫として機能復活をめざしましょう。
○12.18の記事より「大日本麦酒」
大日本麦酒は1949年に、日本麦酒と朝日麦酒(現在のサッポロ)とアサヒ)に分割されました(サッポロビールHP)。床下から大日本麦酒のビール瓶4本が出土?出てきたということは、少なくとも1949年より古い時代からお家が建っていた、と予想できます。増築や改築はされていますが、コアなところは築70年超ということで合っていそうです。
○12.19の記事より「母屋(もや)がない天井裏」
母屋がない理由を私なりに予想してみました。
1)棟木も再利用材があったり、かき集めている様子から単純に材料不足のため?
2)天井裏で養蚕をしていたらしく、母屋と小屋束(母屋を支える材)がないことでスペースが広く取れるため?
3)両方?
○12.19の記事より「箱メガネみたいな構造」
上記予想の2)が正解なら、ザルから逃れた蚕さんが四隅の穴からポロポロ居室に落ちてくるのを防ぐために、わざわざ箱メガネ構造にしたのかな?と想像膨らみました。でも、そもそも四隅に穴がある理由がわからない。蚕さんのいる(として)、屋根裏まで居室の熱を送るため?ただの換気?
と思っていたら、「壮蚕期に必要な空気の流れをよくするため」という記事を見つけました(群馬県HP)。蚕説有力かも。
よし、蚕飼って天井裏機能復活は、、、目指さないかな。
天井のナゾは、あくまで予想なので伏線回収できていません。
色々な地域の古い建物構造など、機会があれば収集してみたいと思います。
2024.12.19
改装工事8日目
天井板を一部剥がして、天井裏を確認。掃除をしました。
少なくとも30年ほど?積もりに積もった天井裏。
軒桁と屋根板の間にはところどころ隙間があり、光が差し込んでいます。
つまり、水は入らないけど風は吹き込む構造。
ほとんど外ですね。
でもネズミやヤモリの侵入痕は少なく、〇〇の骨や死骸もみあたりません。
予想より、キレイ。
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しかし、相当な埃です。
大工さんが、新聞紙を細かくちぎって水に浸したものを撒いて、ほうきで履く!という技を実践してくれました。
昔、山形のアルプラザでバイトしていた時に、酢を箱ごと落として割った際、マネージャーから「青果売り場から籾殻もってこい!」と怒られたのを思い出しました。
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御蔵の古い家の特徴?もしかしたら全国的?
各部屋の四隅の天井板を抜いて金網が貼ってあり、通気性を高める構造。
この家は、箱メガネのような箱構造が穴の上部に設けられていて、箱の上に金網(錆びて消失)が貼ってありました。
這いずってきた虫が、下の居室に落ちるのを防ぐ工夫か?
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水回りの増築部分との接続もきちんとされていて、雨漏りあとは見受けられませんでした。安心。
ものすごい埃の中、大工さんが非常に丁寧にお掃除してくださいました。
ここに1人住めるんじゃないか?と思うくらいキレイにしていただきました。
囲炉裏の煙に黒く燻された天井板は、できるだけ今のまま残した空間にしたいと思っています。
イナゴ天井、って初めて聞きました。
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2024.12.18
改装工事7日目
増築パート(台所・風呂場・トイレ・玄関)の内壁剥がし作業がすすみ、居室の床材剥がしまでいきました。
壁がないことで広さを感じますが、天井板や鴨居を外すと、より広さが際立ちます。実際には、そんなに広くないんですけどね。
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やっぱり小室工務店。今も練馬区と北区に同名の工務店があるようですが、、、。
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床板を剥がすと地面が露出します。
思いのほか、乾いている。シロアリが全然入っていないことに、大工さんもびっくりされていました。
それよりびっくりしたのが、真ん中の木枠です。
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なんと1mほどの深さのタテ穴が床下に掘られていました。
穴の壁面は石積みで補強されて、モルタルがなすりつけられています。
底は流石に土埃が堆積していましたが、モルタルで平らにならしてありました。
井戸? 貯蔵庫? ???
これまで何度か御蔵でお家の解体に参加しましたが、床下にこんな井戸みたいな穴あるの見たことがありません。
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もうこれカーヴじゃん。
梅酒・梅干し・野草焼酎・ワインとかのストックスペースにしちゃおう。
そして御蔵の古い家の解体作業ではおきまりのビール瓶・焼酎樽・囲炉裏跡。量は多くありませんでしたが、今回も出ました。
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玉石のつか石がしっかり鎮座されておりました。
これからもどすんとお家をお護りください。
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2024.12.17
改装工事6日目
解体作業で出た建材を、焼却場や不燃物廃棄場へ運搬する作業から1日が始まりました。軽トラ満載。
大工さんが手際よく作業を進めています。
下の写真は台所。不燃材(たぶん石綿を含む)の壁を剥がし終えたところ。
右の裏から見える壁は、風呂の壁。
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いよいよ床のタイルカーペットを取って、床剥がしにかかります。
あれ?下にもう一枚、床あるね。
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もとの床板がでてきました。
これはきっと、アスナロ※!
(※御蔵ではイヌマキのことをアスナロと呼びます)
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長年、コンパネの床に隠されていたのでホコリやヤモリの卵で覆われていましたが、少し磨くとテカリが出ます。
床は全面張り替えなので、他所からの材に張り替えてしまいますが、アスナロ材は小テーブルやあがりこまちなどで利用できないか、、、考えます。
増築部分の化粧板の裏にみつけた文字
こんなところに歴史を感じます。
もともと、きよやの隠居だったこのお家。
チョークで書かれたこの文字、何年間壁の裏でじっとしてたのだろう。
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浴室も腰高のモルタルを残して撤去完了。モルタル地には名古屋モザイクさんのタイルを貼って、上は板張、浴槽は南部桶正さんの風呂桶にを設置します。
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囲炉裏部屋のオリジナル床が露出しました。
時の試練に耐えた美しさに、おもわず「このままの床で!」と大工さんにお願いしそうになりました。
が!やっぱり快適からは程遠い(いや、むっちゃ素敵なんだけど)、メンテナンスも絶対大変とかなんとか、自問自答。
何か他に転用するとして、床は新調します。
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本日も充実した1日でした。明日もよろしくお願いします。
2024.12.16
改装工事5日目
片屋根倉庫の基礎に向けて砕石を敷いて、内壁撤去、天井裏の確認を行いました。
下写真は、押し入れからでてきた箱。
化粧品か何かの箱でしょうか?
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上写真の板が使われていたのは、なんとお仏壇です。質素なものでしたが、ホゾや竹釘を使って丁寧に組まれていました。材料の少ないなか手作業で作られていて、とても感心しました。
残念ながら、再利用アイデアが全く浮かびませんでしたので、明日二酸化炭素に戻っていただくことに。
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どどどどどーって固める機械
プレートコンパクターという名を、今知りました(夜11時)。
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クライマックスの天井板の上。何が出てくるか?すごく気になっていました。普段は、ネズミの運動場。ねずみは見えず。
いきなり屋根板。棟木と垂木と軒桁だけのシンプル構造。
母屋とよばれる中間の支え材はありませんでした。
しかも利用されている垂木は、皮が残った杉の丸太あり、ほぞが切られた柱材あり、溝が切られた鴨居あり、と苦心して材料を集めた様子が見て取れます。
天井裏のあまりのホコリに、大工さんも「天井板換えたほうがいいんじゃないですか?」とおっしゃってましたが、時間に醸された味を大切にしたいので、掃除して、そのまま利用することを選びました。はたして、、、?
2024.12.15
改装工事4日目
本日は日曜日。ですので大工さんはお休みです。
朝、Hさんが「うちの駐車場作るので土が出るけどいりますか」とわざわざ家まで来てくれました。
そりゃ、行かなアカンでしょ。
急遽、日曜土方仕事に決定(のちのちこれは大正解だった)。
掘った土をペール缶11缶につめて、軽トラに乗せて運んで、クレーンで吊って、庭にまく作業。
もともと納屋の建っていた場所がすごく凹んでいて、庭にするにもそのままでは使えない状態でした。ほんの4.5m×4.5m程度のスペース。
地面は石やらガラやらで凸凹ですし。
調べてみると、ハナレ前のコンクリ面から300mmも下がっています。
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パッと計算して3.5立米の土を入れなくてはなりません。
掘って詰めて運んで盛って×8の作業を一日中やっていました。
それでもまぁ、サンブンノイチくらい。
重機ってすごいなぁ、と思いました。
この先、奥さんの実家暮らしすることになったら、絶対ミニユンボ買う。
使い道は買ってから考える。
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2024.12.14
改装工事3日目
本日は、保育園行事があったためお手伝いはできませんでした。
その間も大工さんは、東側の片屋根倉庫の地ならしと基礎のための鉄筋を設置、不要となる内壁や台所のシンク、洗面台などを取り外し作業を進めてくださいました。
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2024.12.13
改装工事2日目
道路から2mほど高い位置に家が建っているため、資材搬入用に単管と足場板で1坪ほどの高台ができ、クレーンが据え付けられました。
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大工さんが工具類をどんどん運び込みます。大工さんの道具類は、コンテナにピシッとまとめられてラベリングされており、几帳面。
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大工さんおお邪魔にならぬよう、お家周りの庭木や草を刈ったり、燃やしたりしています。
お家の中にあった良い色に焼けた竹竿、、、一輪挿しにする?とも一瞬思いましたが「使いこなせない」ので二酸化炭素と水にお戻りいただきました。
お疲れ様でした。
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2024.12.12
かねてより遅れていたハナレの改修計画ですが、本日着工しました。座右の銘「記憶より記録」のとおり、
ここnoteに改修工事記録を綴り、完成の暁には、
みくラボの活動記録を綴る場となる予定です。
まずは改修前の中の様子を記録してみます。
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道路から2mほど高い場所にあるため、道に面した駐車場に単管で台を作り、そこに小さなクレーンを据えて建材を運び込みます。
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近隣住民の皆さま、お騒がせして申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。