【編集後記】ヘルスケアに「ワクワク」をプラスすると..?
患者として病院に行くと、診察室ではなかなか本当に心配していることが聞けないということはないですか?
私自身4年間ヘルスケア業界で働いていて、病院に行くことに慣れていても、患者としていざ診察室で先生を目の前にすると中々心配していることが聞けません。。。
健康の問題は日常生活と切っても切り離せない、暮らしの延長線上の問題です。それにも関わらず、病院は非日常で、ハードルが高いという現状もあるのかなと思います。
さて、今回もWebメディア「HCD-HUB」で私が取材・執筆した記事、「医療者が街に出ていく時代? 守本陽一さんが考えるコミュニティとケアの新たな関係性とは。」(前後半)について、本編では書けなかった個人的な感想を綴る【編集後記】を書いていこうと思います!
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日常生活の延長線上にケアとの接点があると、私たちの生活はどのように変わっていくのか?
総合診療医の守本さんは屋台を引いて街を歩き、コーヒーを配る活動をしたり、シェア型の図書館で店員さんをしています。
医療者であることはあえて明かさず「屋台の店員さんが実は医者だった」というように、日常生活の延長線上に医療者との接点を生む仕掛けをしています。
このように「まちにケアがある」とどのような良いことがあるのでしょうか。
守本さんが共著で出している本に「ケアとまちづくり、ときどきアート」という本があります。地域に医療福祉関係者が出ていくことの意義を考え直し、地域に出ていくにあたって、手助けになるような本です。
この本の中では、医療や福祉の「環境や在り方を変えた方がいい」と書かれています。
今までは、健康に関する問題はすべて自己責任と捉えられてきました。しかし、健康は社会的決定要因によって決まり、個人の責任だけではないというのです。例えば、職場に喫煙者が多くタバコを勧められたら断れない環境や、健康的な食事がしたくても野菜が高く、炭水化物中心の食生活をせざるを得ない貧困状態など。
様々な背景因子があり、その社会的要因は決して病院の中にはないのです。健康問題について、問題が明らかとなってから介入を始めても十分とはいえず、個々人のライフコース全体に介入する必要があるそうです。
したがって暮らしの場に医療・福祉を混ぜ込むことが大切になってくるのです!
しかし、予防、検診を行うにあたって、住民に病院という場所に来てもらうことはハードルが高いです。健康相談の場に来る人はすでに健康に興味がある意識の高い人。
日常の延長戦上に、面白そう!楽しそう!というコンテンツを組み込み、人々が知らず知らずのうちに健康になっていく仕掛けをしていくことが大事だそうです。
これまでは、予防したい人(健康に関心の高い人に)に病院に来てもらうというスタイルでしたが、これからは日常生活にどう予防ををいれていくかというスタイルが注目されています。
そのためには医療従事者がコミュニティに入り込んでいくことや、時にはアートやエンターテインメントなどの活用も必要になるとのこと。
可愛くヘルスケアを考える「Ladyknows Fes 2019」
そこで、私は以前ある講演会で聞いた株式会社arcaの辻愛沙子さんのお話を思い出しました(この方は報道番組 news zero のレギュラーコメンテーターをされていますね!)。
株式会社arcaは、広告やブランディングの仕事を生業として、大企業と生活者をアイディアやデザインの力で繋ぎ合わせ、社会や企業の抱える課題を解決するという仕事を行なっています。
2019年に、女性のエンパワメントやヘルスケアを促す「Ladyknows」プロジェクトが発足され、「Ladyknows Fes 2019」というイベントが開催されました。
このイベントは、若年女性の健康診断受診率が低いという課題に対し、誰もが気軽で気楽に健康診断/婦人科検診を受けられるようにと、ワンコインで受けられるレディースドックや、楽しく自分を知る新しい健康診断の形が企画されていました。
何よりも、このイベントで驚いたのが人間ドックが「可愛い!!」ということ。
会場は結婚式場の4フロアを貸し切り。女性の身体のことや病気のリスクを視覚的に表現し、楽しく知ることのできる『ミュージアム』では、インスタレーションアートやフォトスポットが多数展示され、SNSで思わずシェアしたくなる空間が広がっています。
様々な領域で活躍している女性たちが女性の生き方や働き方について語るシンポジウムを開催したり、女性向けのあたらしい健康診断の形を提案するクリニックも開設。楽しく「自分を知る」ためにデザインされた身体測定や、外側の美しさやヘルシーさも女性の健康には重要であるという想いから生まれた “ビューティドック”など、タスクとしての健診ではない、新しい体験を作っていました。乳がん検診や子宮頸がん検診を行う『レディースドック』を開催。コストのかかる自費受診を低コストで気軽に受けられるだけでなく、おしゃれな空間でリラックスして受診できることも魅力です。
日本で「健康診断を1年以上受けられてない人」の割合は、20代・30代の女性が最も多く、30代女性に関しては44%も未受診というデータがあるそうです。
これは男性に比べ、女性の正規雇用の割合が少ないということも背景にあると辻さんは仰っていました。さらに人間ドックは1〜3万円くらいかかりますよね。健康診断に行ってもお金がかかるのに、楽しくないし可愛くない。インスタに映える写真もあげられない。健康問題と距離がある、若くてお金のない女の子が行くにはやはりハードルが高いのではないでしょうか。
しかしこんな健康診断なら行ってみたいかもと女の子たちは思うかもしれない。友達と楽しく人間ドックを受けて、インスタに「健康診断受けてきたよ~♡」とストーリーズをあげ、帰りにおしゃれなカフェで健康問題についておしゃべりするという時代が来るかもしれません。
ヘルスケアに楽しい、面白いなどのコンテンツが組み込まれると、日常生活の延長線上で切れ目なくケアに遭遇できる可能性があります。
そんな風にヘルスケアがデザインされ、再定義されることで、みんなが「自然に健康になれる」という未来がやってくるのではないかと思うとワクワクしませんか?(^O^)
【参考・画像引用元】
https://arca.tokyo/http://ladyknows.jp/spe01https://m.a-dot.co.jp/management/arca-established-tsujiasako/https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000024030.htmlhttps://note.com/ai_1124at/n/n31e297b8063chttps://www.facebook.com/nihonseimei/posts/2825970744104379/