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試写会日記vol1『パヴァロッティ 太陽のテノール』(ロン・ハワード監督)
「神の声を持つ」といわれたオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティのドキュメンタリー。この映画を観た後は、パヴァロッティが歌う「誰も寝てはならぬ」が耳から離れなくなる。
何度かオペラを鑑賞したことがある程度で、パヴァロッティや三大テノールの名前は耳にしたことがある…かな??という心もとない状態での試写だったが、面白かった。
もうとにかく、パヴァロッティの豊かな美声が魅力だ。声楽家は身体が楽器といわれるが、まさしく彼の大きな身体は楽器。人間の無限の可能性に思いをはせる。あの有名な三大テノールが競演したシーンでは、鳥肌が立ち、何だかワケの分からない涙がにじみ出てきた。
故人のドキュメンタリーなので、監督を務めたロン・ハワード監督は生前のありとあらゆる映像資料を駆使して作ったのだろうけど、見どころは生前のパヴァロッティについて語る関係者のインタビューだ。
売れていない時代から支えた元妻、娘たち、最後を見届けた妻、そして愛人。彼女たちのインタビューから、パヴァロッティの人間性が立ち上がってくる。とにかく明るく陽気な人だったのだ。同じオペラ歌手でもあった愛人が、「欠点は、同時に魅力でもあった」と語るのが印象的だ。
世界的な名声を手に入れた後は、分野を超えたアーティストたちとの交流とチャリティーに力を入れるパヴァロッティ。全てを味わい尽くし、人生を生き切るって、こういう人の生きざまを言うのだろう。
注文を付けるとすれば、もう少し人間的な負の面があってもいい気がした。実際には、舞台のドタキャンも多かったそうだ。(9月4日から全国公開)