ふるさと納税の仕組み基礎編
らのぴですこんばんは\(^o^)/ 年末が少しずつ近づいてきている関係で、「ふるさと納税の試算をしてください!」が増えてくる頃。
そんな中あいうさんが「ふるさと納税教えろ」と言ってきたのでガストで勉強会してきたよ。
まず、ふるさと納税の限度額という言い方をすると、「寄付に制限はありません」というツッコミが入ることがあるが、お客様はそんなことを求めてないわけで、いわゆる「2,000円負担で一番多く返礼品がほしい」を実現するためにはいくらふるさと納税をすればいいのか?を求めている。
今年(執筆時点では令和5年)の所得をベースに考えなくてはならない。でも、今年の所得を計算する確定申告というのは、基本的に来年(令和6年)の2~3月なわけ。これを待っていたら年越ししちゃってるんだから、
令和6年のふるさと納税の話になってしまう。
そのため、「仮定をおいて、そのとおりになったらその金額をふるさと納税してくれ。」というような説明にしないと危ない。
一般的に行われている手法としては、「前年の確定申告書の数字を用いて、それから今年特有の事象を加味(加減)する」である。
では、仮にYさんの前年の申告書がこういう感じだったとするよ。
*事業所得400万円(青色控除後)
*給与所得167万円(収入250万円)
*雑所得10万円
(注)雑所得は20万円未満だが、確定申告するなら入れる必要がある。
・社会保険料控除40万円
・基礎控除48万円
としよう。
ただし、今年、Yさんは今年結婚したとする。Yさんの配偶者は所得がないものとする。そうすると、配偶者控除がとれる。所得控除38万円が追加されるものとする。
収入面は多少変動あるかもしれないが、一緒と仮定するしかなさそうであったので、去年と同じ数字を使うこととする。
(注)たとえば、修繕をやって大きく経費が計上され、損益通算の結果、
課税所得がないみたいなこともあるから気をつけて。その他、医療費控除がかなり発生してしまった、とか。
今の状況をまとめるとこうなる。想定所得
かいけいセブンは本当にすごい。
会計事務所の新人さんがお客さまから質問されたとして、よくわからないけど入力してから、
「これ使って試算しました」で上司に相談すると、たぶん、「これは合ってるの?」みたいに言われて詰むと思うので基本的な説明を以下行う。
総務省HPをみてみよう。ふるさと納税(のみ寄付支出)をしたら、こういう形で控除される旨載っている。
この説明をみると、払った金額がどう控除されるのか載ってはいるけど抽象的で難しいよね。めっちゃ基礎的なパターンとしては、
(ふるさと納税額-2,000円)をXと置く→①で所得税率を求める→③③'を用いて方程式を作る。
実際は①②③それぞれ控除に限度額があるけれど、③が一番ひっかかりやすくて、そこに引っかかったらもう2,000円負担じゃなくなっていく~ってイメージでOK。
ではやってみよう。
所得税率を求めるとする。
課税総所得金額が451万円。
ここで、速算表をみたのは、その人(Yさん)にとっての一番上の税率を見たいだけ。速算表の控除額は、見なくていい。Yさんの税率は20%である。
(注)復興特別所得税が現在はあるので、20.42%と考えること。
(注)分離課税があっても、用いる所得税率は総合課税が優先されるのでその税率だけみること。分離課税のみの人はそれぞれどれが優先されるかという話になってきて難しい。
①について
X×20.42%引ける。ただし総所得金額等の40%を限度。
本件でいうと5,770,000×40%=2,308,000円まで
②について
X×10%引ける。
本件でいうと5,770,000×30%=1,731,000円まで
③について
X×69.58%引ける。(※69.58%=100%から①と②の%を引いたもの。100%-20.42%-10%=69.58%。)
ここまでみて、①+②+③してしまうと、X×100%引けるように見えてしまう。Yさんの所得で①②の限度額並にふるさと納税するなんて聞いたことないと思う。いわゆる限度額を求めるにあたって③’がここで重要なのである。
③’について
住民税所得割の20%を限度とする
住民税所得割っていうのは、課税総所得金額に10%かけたものが一般的。
さらに、分離課税所得があるなら~たとえば土地譲渡所得があるなら、そういうのにも5%かけてあげたものを~別計算して合算する。
本件でいえば、住民税の課税総所得金額4,610,000円に対して10%かけたものが所得割。461,000円だ。それの20%が限度とされているので、
461,000円×20%=92,200円になる。これが③の限度だということだから
0.6958X=92,200円とすれば、上限を出せる。
(①②よりここの上限が一番厳しいので実質的にここで上限が求まる。)
そうすると、92,200÷0.6958=132,509円と算出される。これが引ける限度額であり、Xである。Xは、(ふるさと納税額-2,000円)=132,509円である。
そうすると、ふるさと納税額=134,509円となる。これが上限。
さて、134,000円と かいけいセブンが言っていたのは、1,000円単位でふるさと納税するからだと推測される。
では、本当に上限ギリギリの数字なのか検算してみようと思う。
Ⅰ 134,000円をふるさと納税(明らかに総所得金額基準以下)
①所得税の寄付金控除
134,000-2,000=132,000(X相当)
132,000×20.42%=26,954円 税金が減る
②住民税基本分
132,000×10%=13,200円 税金が減る
③住民税特例分
132,000×69.58%=91,845円 税金が減る
③' 制限の92,200>91,845円 ∴制限かからずOK
④引ける額
①+②+③=131,999円(※端数処理の関係で2,001円負担。≒2,000円負担)
Ⅱ135,000円をふるさと納税
①所得税の寄付金控除
135,000-2,000=133,000(X相当)
133,000×20.42%=27,158円 税金が減る
②住民税基本分
133,000×10%=13,300円 税金が減る
③住民税特例分
133,000×69.58%=92,541円
③’の制限92,200円 <92,541円 ∴引けるのが92,200円。制限ひっかかった。
④引ける額
①+②+③=132,658円(※負担→135,000-132,658=2,342円)
・・・・・・・・・・・という感じ。
◆その他小ネタ
住宅ローン控除があると、手計算難しくなる。
まず、先に寄付金控除の処理を1表左下で行うのに、そのあと住宅ローン控除(税額控除)がされてしまうから、もともと所得税の寄付金控除がなくても住宅ローン控除で所得税0 みたいな感じだったらそもそも2,000円負担でなくなってしまう。
ここでワンストップ特例が役立つ場合がある。
※住宅ローン控除、所得税からひききれない部分を一部住民税で引いてくれるのがあるのは存じているが、全て引けるわけではない点注意。
まず、給与所得者が住宅ローン控除2年目以降で年末調整をしてもらう。
そしてワンストップ特例を使う。そうすると、被害が減るかもしれない。(?)
※ふるさと納税分、全部住民税から引いてくれるから。所得税の中での寄付金控除と住宅ローン控除がぶつかり合うことがなくなる・・・よね?
昨日はこんな話をしていました。お疲れ様でした!