修行ネコ ⑪神様からのごほうび
家にいるノラネコ
さて、
ハルたんです。
夜鳴きは相当続いたと思いますが、いつしか治まってゆきました。
怖がらせないよう、あまり本人を見ずに、ずっと鏡越しに観察する日々を過ごし、
ひと月が過ぎました。
保護猫女主人が『仲良くなるまでひと月くらい?』と言ったひと月でした。(後日には『三か月くらい?』に延びていたのですが)
ひと月たっても、激ビビリは変わりません。
遊びに誘っても
『ウウ~~~~』
と威嚇されます。
いつしか私のハルへ話しかける頻度も減っていきました。
ただの懐かない野良猫が家にいる、
そんな感じでした。
保護猫って、
猫って、
ていうか、動物ってね!
食べ物をくれる人を好きになるシステムってあると思うんですよ。
絶対に。
野性ならなおさら、
生きる上で、食べ物をくれるこいつは大事にしとこう、
ってあるじゃないですか?
食べ物をくれるっていい人だわ的なこともありますよね、ネコによっては。
そして、
トイレをちゃんと清潔に保ってるのも結構大事やったと思うんですよ~?
でもですねぇ。
悲しいかな、保護ネコカフェで3年間も過ごしてしまった成猫とゆーのはですね~、メシなんか勝手に出てきてとーぜん!の世界なんですわ~。
なのでエサをくれる人に懐く気持ちもなく(抱っこできたのが一回だけだったそう)広いスペースで自由に生きてたんでしょうね。
そういう、最低でも、『ありがてえな、こいつは大事にしとこう』みたいな態度すらないわけです。
本当に関係性を築く、ということがなかなかできないネコなのでありまして、
お世話する側としては、
もう、
日々ため息で、
徐々に、
ヒンヤリと、
さめざめと、
冷めた心になってゆきました。
又ムカつくことに、
こちらがハルに話しかける
超絶・絶妙なタイミングで、
というか、3文字も言い終わらないタイミングで、
プンっと踵を返して去っていくところがあったのです。
オマエノコトナンカキイテヤルカ
そんな態度でした。
芸人か?そのタイミングめっちゃ計ってやってるやろ?と突っ込みたくなるような!
いや~~~~な間で、
やるんですよ!
ビビリなくせに、なんか意地悪なんですよね~~~。
不信感というか、皮肉というか、辛辣な感じが、
ありました。
一生このままだったらどうしよう・・・
ハルの箸にも棒にも掛からないような態度に、
一生このままだったらどうしよう。
そんな思いが何度も沸き上がりました。仲良くなっていくイメージが全然できないのです。
数十年間猫との生活にあこがれてきたのですが(プロローグ)
一生触ることもできない猫との暮らしをしたいわけではなんです・・・
そして日々、私は又女主人にハルをお返しする色んなパターンのシュミレーションを幾度となく続け、いやもうちょっと頑張ってみよう、と再度思い直すという一連の行為を続けていました。
神様がくれたアメ
しかし、
しかしですね、
やはり神様はおられました。
ある日、小さなライトを付けて寝ようかな、とふと思ったのです。
それは夜中にゴソゴソ動き回っているハルの存在を何となく感じてたからでした。
そして、床置きの間接照明を置いたその夜中すぎ、
ふと目を開けると、
ベッドで寝ている私を近くでじっと見つめるハルが
そこにいました。
その時のハルは、
すごく興味津々な顔で私の顔を見上げていたのです。
ほんとうに、びっくりしました。
そして、
私の心を覆っていた氷が一瞬で溶けていったような感覚を体験しました。
そして、
私の心に又愛と希望が戻ってきたのです。
翌日から、
久しぶりに、たくさん話しかけるようになりました。
表面的にはどんな態度でも、
ハルはハルで、私に興味は持ってるんだ。
それが、そんな小さなことが、
異常に嬉しかったんです。
その一夜にして、
『この子と頑張っていこう』
と心に誓うことができたのです。
振り返ればその日から、SNSでハルのことをアウトプットできるようになりました。
あの直感をくれたのも、
絶妙なタイミングでしたよ、
神様~。
あざます!