Message in a bottle
普段のおしゃべりは、いつまででも続くのに、リレーコラムになるとつい筆が止まるのは、我々3人、案外シャイなのか、怠惰さ故なのか。
さて、気がつけば夏真っ盛り。太陽が東の空にあるうちから、じりじりとアスファルトの道路を焼き、熱気が地表を覆い尽くす。路地裏の野良猫も、あまりの暑さにじっと息を潜めているのに、庭の雑草は信じられないほどの生命力でボウボウと伸びている。
子どもたちにとっては、待望の夏休み突入、である。が、現実には、夏休みを待ちわびている子どもばかりでもない。
スクールカウンセラーとして会っている生徒の中には、来週のカウンセリングまでは生きる、と毎週相談室に来ることをとりあえずの目標にして生き延びている子もいれば、家にいる時間を極力少なく出来るように、学校、部活、バイト、遊び、と家の外に出る予定を目一杯詰め込んで、家に帰ったら気絶したように眠るだけ、という子もいる。小学生や中学生であれば、給食がない夏休み期間中には、昼食が取れず、休み明けに体重が減ってしまう子もいると聞く。家に居場所がない子どもたち。そういう子どもたちが、この夏休みをどうやって過ごしているのか、とてもとても気にかかっている。
夜眠れている? ごはんはちゃんと食べてる? 今週は何があったの? 最近調子はどう? その子の瞳を覗いて、聞いてあげたいことがたくさんある。
家を飛び出して、街に出て行ってもいい。自分の居場所は自分で作る、そういうあなたの力を信じるし、応援してるよ。でもね、助けが必要なときにはいつでも声をあげて。あなたを助けたい大人はたくさんいる。
こんなところで気にかけているだけでは、何も届かないし、何の役にも立たないことは分かっている。でも、気にかけている、あなたの無事を願っている、あなたの助けになりたいと思っている大人が、ここにいるよ、という思いでこのコラムを綴っている。Like a message in a bottle. インターネットの大海を漂って、誰かに届きますように。
このメッセージを読んでくれている大人には、そういう子どもたちの存在に、ほんの少し思いを馳せてほしい。そして、もしそういう子どもたちのSOSを受け取ったら、その声に耳を傾けてほしい。その子を助けることは出来なくても、SOSの声を然るべきところに届けるお手伝いをしてほしい。
夏休みが明けたら、みんなに会えることを願っているよ。
(M.C)
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