苦手な人
お返事ありがとうございます。波長、リズム、テンポ。それぞれ経験によって培われた感覚によって、言葉にならない相手の特徴を掴んで、合わせていくスキルを持っているようですね。
先週のコラムで、相手のテンポが分かることを「特殊能力」と言っていましたが、これで言うと私の特殊能力(笑)は、相手がちゃんと説明できなくても、言いたいことを概ね理解できる、だと思いました。
心理職を目指す前からの特技で、特に「あれ、これ、それ」と指示語ばかりの人と、あまり苦もなく会話が出来ます(笑) 相手の言いたいことを汲むのが得意なおかげで、他人とコミュニケーションを取ることに苦手意識を持っている方から、こんなに自分の話を分かってくれる人はいない、と言われることがあり、自分の仕事とこの能力(?)の相性の良さを感じます。
特殊能力と呼べるほどではない気がしますが、こういう小さな「得意」が自分の職業とか、進むべき道に繋がっているのかも知れないなと思いました。
さて、話は変わりますが、おふたりは「苦手な人」や「苦手なタイプ」はいますか? まあ、誰にでも「苦手な人」の一人や二人、いると思うのですが、クライエントさんや、友人知人を見ていて思うのが、生きづらい人は「苦手な人」がとっても多いなあということです。職場のAさんが苦手、取引先のBさんも苦手、友人グループのCさんも実は嫌い、となっていくと何処にいても心安らぎません。こういう人は職場や友人を変えても、やっぱり「苦手な人」が出てくるもので、なかなか安心できる居場所を見つけることが出来ません。究極、「人が嫌い」になってしまうと、引きこもって一人で生きざるを得なくなってしまいます。
どういう人が苦手か、というのはケース・バイ・ケースかと思いますが、往々にしてあるのが、相手のちょっとした言動に、過去に自分を苦しめた人と似たところを見つけてしまい、その人と同じように苦手だと思ってしまうとか、相手が自分のことを嫌いだろうと思い込んでしまうということです。そして、過去の嫌な人と同じだ、とか、相手は自分のことを嫌いだ、という思い込みが前提にあってその人と関わっていくので、当然のように疎遠になったり、関係が拗れたりします。だって、「関係がうまくいかないレール」に最初に乗ってしまうのですから。
カウンセリングでは、この他人や他人の感情に対する思い込みを変えていこうと、試みるわけですが、今日はその手前でちょっと立ち止まって考えてみたいのです。
「苦手な人」ばかりいる世界で生きている、ってどんな感じだろう? と。
自分のことを、好いてくれない、評価してくれない、認めてくれない・・・・ 自分以外の人とは仲良く楽しそうにしている、他の人には優しいのに自分には冷たい、そもそも自分に興味を持ってくれない、この人は自分といても楽しくない、一緒にいてもらって申し訳ない・・・ そんな気持ちを持ちながら、その人と一緒の空間で、仕事をしたり、遊びに行ったりしないといけない・・・。ひとりで部屋にいても、SNSを通じて、その人が自分以外の人達と楽しく過ごしている様子が流れてきます。そうすると、「おかしいのは自分の方なんだ」という気持ちが生まれて、孤独な気分になるのは無理からぬことでしょう。
そして、くよくよしていないで仕事や何かを頑張ろう、成果を出そう、と立ち上がったとしても、その行く手をやはり「苦手な人」に塞がれてしまうのです。頑張っても結局人間関係のせいでだめなんだ・・・と思えば、やりきれない気持ちにもなるでしょうね。
こんなふうに「苦手な人ばかり」に囲まれて日々を生きていたら、孤独で、不安で、生きていることがどんどん辛くなって来るだろうなと思います。
でも「苦手な人」をいち早く見つけて警戒する、できるだけ避ける、という行動様式自体は、自分を守るために発達したことで、ある意味最初に話題にした「特殊能力」のひとつなのではないか、と思います。全く警戒しないでいて、後ろから斬られるより、いつでも逃げられるように身構えておこう、という思考であるわけだから。その能力を、どうにか今の自分の味方につけることは出来ないものでしょうか。
お二人はどう思いますか?
(M.C)
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