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TAKE IT EASY

Take it easy  Take it easy
泣いてばかりじゃだめさ
笑いながら歩いてみよう

作詞 宮沢一史

 Take it easyと言うと、前にも後にも私にとってはこの歌詞と共に曲が浮かんでくる。The Boomによって歌われた歌。

 前のコラムで、おまじないのように「Take it easy」と、使ってみてはどうかと書いてあったが、まさしくこの歌をよく口ずさんでいたりするわけで、歌というのは、まじないに通じるのかもしれないなと思う。繰り返すことによって、自分に言い聞かせるというのは、一つの自己暗示でもあるだろうから。

 自己暗示は、催眠療法という心理療法の中でも使われている。自分に暗示をかけることで、悪い習慣をやめる自分や目標とする新しい自分をイメージしやすくしたり、リラックスできるようになったりするものである。この話題も掘り下げると興味深いのだが私自身の専門ではないので、これくらいにしておこう。
 
 なんてことを書きつつ、Take it easyを和的にイメージしてみると、浮かんでくるのは兼好法師の徒然草である。なぜ? と言われても困るけれども、『つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば』と言われると、そこに気楽さを感じるからだ。

 しかし、その後に続く文は「あやしゅうこそものぐるおしけれ」なので、気楽さは息をひそめ、気持ちがすっかり乱れてしまっている様子が書かれている。もしかしたら、そんな彼に「Take it easy」と声をかけてあげたくなったから、思い浮かんだのかもしれない。
 
 なにはともあれ、随筆となって今、徒然草を読めているということは、上記のようなときに書きつづけていたものが周りの人にも影響し未来に残ったということである。
 
 同じように、私たちも好きで始めたことが、振り返れば結構長く続いていて、そして自分にとって当たり前に馴染んできた頃に、形になったり他者から評価されたりすることがあるのではないか。

 最近は、コスパやタイパといったことが重視されるが、本人が思っていないタイミングで評価される物事もある。それらは、コスパ、タイパで考える軸から外れている。他にも、その時は良いと思っていたものが、少し長い時間が経って振り返った時に、そんなに良いものではなかったと気づくこともあるかもしれない。

 そういった分からなさが生きている未来にはあり、だからこそそこに不安も付きまとうが、もしかしたら良いこともあるかもなと思えると楽しみも少し増えそうだ。

 だからこそ、「Take it easy」。笑いながら歩いてみよう。そう私たちに投げかけてくる、冒頭の歌が好きだ。
               (K.N)

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