戦斗(note小説テスト)

※うちよそSSです。青水鳥様のラミリアちゃんをお借りしています。

砂漠でのモンスター討伐の任においては、何よりも砂の柔らかさが邪魔をする。
軽く足を掴むように沈むかと思えば、そこから抜け出すことにスタミナの消費を強いられる。
ラミリアの足もどこか覚束ず、拳銃の狙いも安定しない。
「んもぉ!砂が絡んで照準が定めづらい!困っちゃうわ~、ねぇお兄さん」
本当は舌打ちのひとつでもしてやりたかったが、隣にいる膚李のことを考えて取り繕った。
「砂漠戦の一番の敵は環境だからね。
とりわけ銃となると狙いづらいが……裏を返せば、相手も逃げにくいのさ。環境に適した生物であってもね」
敵の攻撃をいなしながら、涼しい顔をして答える。
「狙うのは足回りだけでいいよ。そこを崩せれば、君の勝ちだ」
お手本、と言わんばかりにモンスターの足が攻撃のための踏み込みで砂に沈んだ瞬間に、刀の鞘で脚を払い体勢を崩す。そのまま刀で心臓を一突きしたかと思うと、血の着いた顔でラミリアに微笑んでくる。

「……お兄さん、やっぱり昔は悪い人だったんじゃないのぉ?妙に戦い慣れしすぎじゃないかしら」
「昔は軍にいたからね。それ以上でも以下でもないよ。さぁ、もう1匹が敵討ちに来たね」

膚李が倒したモンスターの死体に向かって、もう一頭が突っ込んでくる。
ラミリアは言われたようにモンスターの足元に弾丸を連射する。
避けるために少しずつ足元がおぼつかなくなり、重心が大きく沈んだところを狙いそのまま彼女は最後の一撃を見舞う。
その一撃は、見事脳天を貫き、モンスターは力なく砂丘に滑り込んでいった。

「うふふふ。上手くいったわね。やっぱり旅路を荒らす悪者はやっつけないとねぇ」
「そういう依頼だからね。にしても、最後のはとてもいい射撃だったよ。今度は1人で大丈夫そうかな?」
「えー?1人だと砂漠で疲れた時に帰れないわァ?今度もよろしくねぇ?」
珍しく、腹の中に一物を抱えない会話をしていた。
依頼が終わった頃には、砂丘の向こうに夕暮れがオレンジの空を作り出していた。

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