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偽善

「あー、この人と喋るとしんどいな」
と感じる人がいる。
めちゃくちゃ口が回る人で言葉数も多いが、そこが原因ではない。
話のほとんどを、自分の陣地へ持って行ってしまうのだ。陣地へ運ぶと言っても、「私が私が」星人のような発言はしない。しかも、一見すると思いやりに溢れる返しを頻繁している良い人だ。

私はその、自分で自分の偽善に気づかず自家中毒を起こしている感じがたまらなくイヤだ。すべて自分の頭の中に持ち込んで、「自分なりに深く納得して」返して来るのだ。それはもはや、私の発した何かからは全く変質した別物になっている。

相手のおはなしを聴くとき、自分が気になった言葉ではなく、相手のエネルギーが強くなったところを逃さないのが大事だなと思う。
話している本人はそこに気づかず通り過ぎてしまうことが多いので、こちらが「おっ?」とすぐ反応できる体勢でないといけない。

頭だけで聴いていると、その瞬間をつかまえることが難しい。私たちは体から出る全ての信号を使って、周りの空気さえも揺らしながらコミュニケーションしていることを忘れないようにしようと決めた。



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