背中合わせ
最近、色々なシンクロニシティが続いていてふと思い出した事がある。
20歳から働いていた事務の仕事に、同期で入社した子がいた。仕事はよく出来るのだと思うが、とにかくよくしゃべり、よく食べる子だった。悪気はないのだろうが、誰かに対しての文句をずっと言っていたり、自分が不倫していた事を話してきたりしたので、周りの人達はみんな右から左へ、その子の話を聞き流していた。誰にでも話しかけていくし、何でも臆せず挑戦する。私とは真逆の性格だと思う。
ところで私は、20歳の時、会社の健康診断で生まれつきある病気になっている事が分かったのだが、その事については、本当に親しい友達と、当時付き合っていた旦那にしか言っていなかった。(それでも結婚してくれた旦那と、親しくしてくれた友達には本当に感謝しているよ)3ヶ月に1回、大学病院で検査をする事約20年、一昨年やっと投薬治療をして完治した。完治したら、行きたいライブに沢山行って、旦那と娘と友達と、沢山遊ぶんだ!!と思っていた矢先、旦那が死んでしまったが。
その3ヶ月健診の最終日に採血室で採血されていると、隣のブースに1人女の人が来た。私と同じぐらいの年齢かな。名前と生年月日を採血してくれる方に自己申告するのだが、聞いた事ある名前だった。あの、同期だった子だったのだ。結婚して変わった苗字もそのままだったが、大阪に住んでたはずなのにな。実家の方に戻ってきたのかな。私は左手を採血され、その子は右手を採血されていたので背中合わせのようになり、仕切りもあって顔も見えなかったが、多分そうだ。あれだけ自分の誕生日に、総務課全員に「今日私、誕生日なんですー!」って言って周っていたから間違いない。すると、採血する人が『「腎内科」にこの後診察ですねー、次は透析室に行って下さい』と聞こえてきた。会社にいた頃からそういえばその子のお父さんが透析をしていたとか言ってたな。「私血管が細くて血液が取れないんです」とその子が言って、採血する方が他に1人増員されていた。私の採血が終わり、立ち上がると次の人がもう呼ばれていたので声をかける間もなかった。
私は、病気とは、今日でやっとやっとさようならできた!という希望で採血していたが、同じ時期に入社したあの子は、これから長い通院が待っているんだな、ここで背中合わせで全く反対の方向に進んで行くんだな…と不思議な気分になった話。