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無宗教

お盆がやってきた。だいたい夏休みとは、お盆に帰省して、お墓参りをするところから来ているのだろう。

私の父は三男なので、田舎から関東へ働きに出てきて、母の兄と友達だった事からお見合いをして結婚したそうなので、東北の田舎にお墓がある。

そのため父は、自分のお墓を今住んでいる場所の近くに無宗教のお墓を買っていた。

なぜ無宗教のお墓を買っていたかというと…

私の母と私は、同じ病気だった。私が20歳の頃、母がその病気で入院した。私もその年の会社の健康診断で再検査になり、病院に行ったところ、母と同じ病気だという事が分かった。

その時は、対応する薬が無かった為、無理をしないようにしつつ放っておくしか無かった。母の兄が漢方薬屋さんをしていたので、西洋医学で治らない病気は、東洋医学でケアしようと考えていた。

私は、旦那と付き合っている頃、意を決してこれこれこういう病気だっていう事が分かったんだと言ってみた。漢方薬を飲むから、保険が効かないのでお金が少しかかるし、普通の人よりも疲れやすい。だから別にそういうのが面倒くさかったら、別れてもいいから。と。

以前他に気になる人がいるからと旦那にフラれた事がある私は、別に今更病気の事を話して嫌われても、そこまででいいや。と開き直って言ってみたのだ。

すると旦那は、「別にその病気は、薬が出来れば治るんでしょ?ならいいじゃん。」と受け入れてくれた。ただ、私の母が、その病気の事を旦那の両親が知ったら、例えば私が病気で死んだとして、旦那と同じお墓に私を入れてくれないかもしれない。だとしたら無宗教のお墓を買っておけば旦那や私や娘も入る事ができると。そこまで深読みしていた。

結果的に、誰も入っていない無宗教のお墓に1番最初に入ったのは旦那だったのだけれども。

そんな訳で私は小さい頃からおじいちゃんおばあちゃんに遊んでもらった記憶もなければ、遠かったからお墓参りに行ったのは2~3回しかない。

お墓参りに行って、御先祖様に「守って下さい」なんてお願い事をするのはナンセンスだという話を聞いた事があるが、まさにそれだと思う。生きてる間に会った事もない子孫に死んだ後に金品や現世利益のお願い事をされてもねぇ。私だったら生きてる間に一緒に楽しい話をして笑うとかさ。スタバの新作ドリンクご馳走してくれるとかさ。一緒にライブ行ってくれるとかさ。面白いアニメ教えてくれるとかさ。新茶ご馳走してくれるとかさ。うな重ご馳走してくれるとかさ…‪w

そんな風に生きてるうちに楽しい時間を一緒に過ごせてありがとうねって感謝を伝える事だと思うんだ。死んだ後に知らないお坊さんがポクポク木魚を叩きながら寝ないように我慢しつつ念仏を唱えられたって何にも嬉しくない。

そんな訳で私は旦那の入っているお墓をゴシゴシ綺麗に拭いて、旦那の好きなコーヒーを一緒に飲んで、お墓の前で娘とジョジョ立ちして旦那を笑わせてきたつもりでいるよ。その方が意味不明な念仏よりよっぽど喜ぶと思うんだよね。

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