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旦那が死んじゃった(3)
転送された病院は、私が20年近く通院していた病院だった。私は20歳頃からある病気になっていて、人より疲れやすい症状があるものの、治す薬が開発されておらず、検査のみの経過観察で通院していた。
旦那の両親に電話して、病院に来てもらう。若い男性の先生が、私達写真を見せてこう言った。
脳に巨大な動脈瘤があります。それが破裂した形跡もあります。このような巨大な動脈瘤は私も今まで見た事がありません。太ももからカテーテルを挿入して、コイル状のものを詰めて、出血をとめる手術をしますが、とめた先の血管は、生命維持に必要な場所なので、血液が行かなくなると植物状態となります。
大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ。さっきまで運転してたし。昨日まで会社の納涼祭で、会社の中案内してくれたじゃん。からくりサーカスを家族で観て一緒に泣いたじゃん。月虹が1番お気に入りって、車の中でずーっとリピートしてたじゃん。夏休みは娘とプール行く約束じゃん。
5時間後、手術が終わりましたと先生に話を聞くと、
出血を止める手術は成功しました。しかし、血液が腫瘍から先にはいかないので旦那さんはいわゆる植物状態となりました。手術中に右目の瞳孔が開いてしまいました。あとは本人の体力次第です。
6時間後、集中治療室に案内されて会えた旦那は、人工呼吸器をつけられ、鼻血がついていて、右目がうっすら開いていました。
痛かったね。すごい痛かったよね。
もっと早く気づいてあげられなくてごめん。
ごめんよ、本当にごめんよ。
右の目蓋を優しく閉じてあげても開いてしまう。
ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね。
鼻血拭いておこうね。