続仲間記
4人とも皆んな変人なのだが、真田は頭1つ抜けていた。もはや狂人だった。いつもけしからんことばかり考えてる。
誰もまともな職に就いてない。みんな金がない。
ある日、真田がこんなことを言った。「電車代浮かせる方法みっけたわ」みんな期待して聞いてみるも、どうも頭の悪そうなことを言う。それでも実際何度か成功してるらしい。
木村は金欠どころかマイナスが続いている。もうあとには引けない。半信半疑でヒヤヒヤしながら、思い切って実行してみると、なんなくいけた。その後木村たちは研究を重ねて、リスクを最大限減らせるようになった。
(もちろんこの秘技はフィクションであるから、読者は余計な妄想を起こさぬように)
別のある日。真田は勘違いして、新規2人のデート日を被らせてしまった。
「お金持ってそうな方に俺は行くから、代わりに誰か行ってもいいよ」
と真田は言う。マッチングアプリで知り合った子で、真田の写真は相手に送ってある。3人の中で1番真田に近いのは木村だろう、と意見が一致した。木村も面白そうだと引き受けた。
真田はその子を最寄りまで呼びつけた。木村は相手のLINEを知らない。合流するときに不信感を持たれないようにしなければならない。真田と通話しながら、なんとかスムーズに待ち合わせできた。先に貰っていた写真の印象通り、ぼんやりした子だなと思う。こういう子は大抵チョロい。木村をなんとなく怪しんではいるが、会話の雰囲気は悪くない。木村の得意技ですぐに手を繋ぐと、照れながらも受け入れた。木村は勝ちを確信した。
コンビニで酒やらスイーツやらを巧みに買わせる。ダンボールと布団が散らかる部屋に連れ込む。フンフン。2台目の携帯だと誤魔化してLINEを交換する。最寄りまで送る。終わり。
おそらく彼女は途中で別人だと気づいていたと思う。木村に巧みに流されてしまったのか、遊びと割り切ったのか。今ではわからない。ただ返信は一度もなかった。
また別のある日、真田が新たな試みを始めた。次は中◯し千本ノックだそうだ。一応聞いて深掘りしてみるも、言葉通り浅かった。やっぱりどうも頭がおかしい。木村は問うた。
「そんなことして、もし相手が面倒なこと言ってきたらどうすんの」
「そしたら逆ギレするんだよ。『は?なんでお前ピル飲んでねえの?ありえねえわ』って」
次元が違うなと木村は感心する。
後日、実験結果を真田に聞いた。実際10人ほどの新規にやってみたらしい。特に揉め事にもならなかった。だが日が経って、1人の学生の腹が膨らんできた。あれやこれや巧みに説得して、相手持ちで堕ろさせたという。
実にけしからん男ですな。
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