【遺稿シリーズ】海道の果ての京
みこちゃん家の古アルバムの中から、某文豪の未発表の遺稿が見つかったので掲載しました
(゜0゜)
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「おおい」
土佐の海の果てから竜馬は静かに叫んだ。
「おおい」
もう一度大きく叫んだときに、肚は決まった。
ここで脱藩だ。
藩を捨てることが一体何を意味するのか。
一族郎党をすべて捨てることだ。
「おおい」
もう一度海に叫んでみた。
「おおい」
海から声が聞こえた。
朝焼けに照らされた海から、ゆっくりとゆっくりと船が漕いでいる。
「おおい」
船頭が竜馬を見てうなずいた。
うなずき返すと決心がついた。
江戸に行く。
下級藩士であっても馬の手配くらいはできる。
痩せた馬だった。
これで江戸まで行けるのだろうか。
そう思ったが、船に乗る時間はない。
行けるところまで行こう。竜馬はそう思った。
馬にまたがると、馬はまるでさっきまでとは違った馬のように、手綱のとおりに東海道を駆け抜けた。
いろんな人物といろんな話をした。
墓場はおそらく京都になるだろう。
自分の運命をなぜだか予感した。
京なんだなここはと、竜馬は最後に思った。
池田屋の二階で「そんなことをするな」これが絶命の言葉だった。
「お龍、ありがとう」
幕末の志士は結局はそのようなものであった。
幸せな人生とはこのようなものであるのではないか。
龍馬の死がそれを静かに語っていた。
ここで話がさかのぼるが、もともと竜馬の人生は、いい意味で破天荒であり、別の言い方をすればでたらめとも言えるものであったと言えよう。
甘えん坊で泣き虫だった竜馬は、ある意味では最後の最後まで甘えん坊で泣き虫だったのではないだろうか。
そんな思いが、竜馬の死の中に見えるようでならない。
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嘘ですみこちゃんのオリジナルでしたー(^-^)
第十四回目は! 司馬遼太郎でしたー