神様とカードを作った話 07 / 木花開耶姫さまをたずねて
この記事は、日本の神々のみなさまと
オリジナルカードを作った道のりを書いた
一連の記事のうちのひとつです。
初めから読む場合はこちらをどうぞ。
うちの近所には、少し大きめの木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)さまの神社がある。
子どもの時にはお祭りで行ったが、夜だし、挨拶もそこそこに、友だちと遊んでいた記憶しかない。
正直、初見に等しい神様。
でもなんとなく、リストを作る時に、絶対に書かなくちゃと思った神様だった。
というわけで、ご挨拶に出かけます。
懐かしの神社は、毎回屋台が並んでいる時に行っていたので、屋台を追っていけば、自ずとたどり着けた場所だった。
けれど今日は普通の日。屋台は出ていない。
「行けばわかるだろう」
と気楽に構えて出かけたが、曲がるところがわからずに道に迷う。
子どもたちからブーイングを受けながら、戻って道を探した。
昼間に来たのはおそらく初めてだったのだろう。
私が記憶していたよりも、ずっと広く、雰囲気も異なっていた。
何よりも、境内に山みたいなものがあって、聞けば「富士塚」というらしい、しかも登れるらしい。
登ると富士山が見える時もあって、富士山に登ったことに、なるとかならないとか。
一緒に来た子どもたちは、山に登る気満々。と、その前に、本殿や摂末共にご挨拶をする。
子どもたちは本殿へご挨拶をしたら、即座に遊具で遊びだす。
私はというと、ひとりで神様に向き合った。
ほとんど一見さんなのに、最初から神様がお話ししてくださったり、何か見せてくださることは、まあないだろうと思ってきたが、案の定、エネルギーは感じるけれど、神様のことはわからない。
男性なのか女性なのかも定かではないし、ましてやどんな方なのかは、全くわからない。
最初はこんなものよね、と住所と名前をお伝えして、久しぶりに来させていただいたことの感謝を申し上げて、摂末社でも同じようにご挨拶。
挨拶を終えて、いざ子どもと共に山登りに。
下から見たら大した高さには見えないが、登ると結構な高さだった。
結構怖がりの長男は、ずいぶんと怖がっていた。
頂上まで上がってみると、さっきまで見ていた地上の景色が、全く違って見える。
「へー、こんなふうに見えるんだ」
と驚きつつ、富士山の方を見ると、雲がかかって頂上は見えなかった。
けれど、裾野につながる広々とした中腹は見えていて、なんだかありがたい気分に。
小さい山とは言え、足元に気をつけながら下山する。
子どもたちは再び野に放たれたように遊び始める。
しばし境内でゆっくり過ごしたものの、2月の寒さは身に染みた。
帰路につこうと本殿の前に戻り、退出の挨拶をすることに。
手を合わせて目を閉じて、
「ありがとうございました」
とご挨拶すると、突如、うす桃色の薄布のようなものが見えた。
ふわりふわりと薄布が風に舞っていて、なんとも言えない美しさに不思議に見入っていると、ひとたび風が強く吹いて、薄布が大きくめくれ上がった。
するとそこに、髪が長く、楚々とした、とても美しい女性が見えた。
とても儚げな雰囲気で、この世のものとも思えない、形容できない美しさだった。
お姿を見せてくださったのは一瞬。
「木花開耶姫さまって、女性だったんだ。しかも楚々とした雰囲気の。」
ありがたさと見たことのない美しさに、ほわわーっとなりながら、この日は神社を後にした。