愛に触れ、揺れた日。
午前中、師と慕う人に会いに行った。
彼は思ったほど背が高くなく、骨格もしっかりしていた。
彼の住む部屋は、良い気が流れ、清い感じがした。聞けば、珪藻土を壁に塗ったらしい。
花とホーリーバジルの葉を手に乗せ、神に捧げてくれと言う。私はそうする。すると、勝手なもんで心が喜ぶ。
軽く自己紹介も兼ねた世間話をしばしする。
彼は徐に床に坐り、キルタンを知ってるか?とマハマントラを唱えながらハーモリウムを弾き始める。
私は、その心地良い調律と音程に耳を傾け、次第に彼の声に合わせて歌い出す。
ハーレ ラーマ ハーレ ラーマ ラーマラーマ ハーレハーレ
ハーレ クリシュナ ハーレ クリシュナ クリシュナクリシュナ ハーレハーレ
究極の愛、真実の愛、根源の愛を意味する、ラーマ。クリシュナ。
私は、その響きたちに、彼と私の声のハーモニーに、心が震えて、手が震えて、涙が出そうになって少し恥ずかしくなって堪えてみて、15分ほどキルタンを歌い続けたあとに彼が話し始めたとき、堰を切ったように涙が流れ出て抑えることができなかった。
あんな、愛を、美しい、愛を、身体で感じたのはいつぶりだっただろうか。
ひどく久しぶりであった。手がビリビリして、身体が動かなくなって、心が満ちた。
神々も、愛を乞うているんだ。神々にも、愛が必要なんだ。
愛が、一番なんだ。
私の師と慕う人は、それを、慈しみと共に何度か繰り返した。
私は、心の底から、そうだな、と、納得した。
そうして、心の震えた朝を過ごして、その後は普段ならそうしない、という選択をしてみたら案外いい場所に辿り着けたりいい人たちに出逢えたりして幸福を覚えたり、
気にかける友人の話をたっぷり聞けて幸せな夕食を過ごしたりした。
寒さが身に染みてくる。もう寝よう。