『俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』が面白い

加速するホラ話が痛快な『俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』を紹介する。
「小説家になろう」サイトに現在連載中であり、小説家、漫画化もされているので自分が言わなくても面白さは評価されているけれど。

https://ncode.syosetu.com/n6537fu/




世の中に物語はどうやってうまれたのか?
おそらく体験談をちょっと盛って語ったことがフィクションの始まりだと思う。


エンターテインメントとはなんだろうか?
日常を忘れさせる非日常体験がカギだと思う。
ディズニーランドは非日常の空間を作り上げて客を楽しませる。

自分はテリー・ギリアム監督の『バロン』(原題: The Adventures of Baron Munchausen)という映画が好きだ。


大げさでとんでもない嘘の物語を丁寧な映像表現によって(その作品を見ている間は没入出来る)リアリティーを持たせることで非日常体験をさせる作品。
ティム・バートン監督の"Big Fish"

も父親のホラ話に辟易していた真面目な息子が、父親が最後を迎えるにあたり父親の足跡を振り返る話し。

ホラ話こそがエンターテインメントの基本なのだと思う。

本作は題名の通り、主人公のノールが自分の武器で相手の武器をはじくパリイという地味な技術で次から次へととんでもないものまではじいて超人的な活躍をしていく。

ホラは日常からかけ離れていれば離れているほど楽しい。

うそだろ、ありえない、そんなバカなと内心でツッコミを入れたくなるド派手な物語が、誰も頼らずに生きていける強さを持つ強者と誰かを頼らなければ生きていけない弱者が描かれることで物語にコントラストをもたらし単純な能力比較でなくなっているように思う。

若くして重責を担い国や民そして最愛の妹のことを思い奔走する王子。
名誉も栄誉も極めながらもまだ自らの技巧の錬成に執念を持つ六聖の面々など主人公一行以外の登場人物も魅力的でド派手な事が次から次へとおこる世界に厚みを感じる。

「小説家になろう」という自由に小説を投稿できるサイトでは読者の感想で重箱の隅をほじくるような人達がいて、作者がそのような指摘を気にして作中にあれこれと説明を入れるようになると作品の勢いが失わ冗長な作品へとなりがちな問題がある。

しかしながら、いわゆるファンタジーという物語の分野は日常からかけ離れた非日常を楽しむ舞台。
そんな舞台で「リアルでない」と重箱の隅をつつくような批評は愚の骨頂。
小説を物語にそって読んでいる間、映画を見ている間、といった読者体験、視聴体験の間はその世界にシラケないでいられるだけのリアリティーは必要だけれども、見返して不整合を探さなければ分からない程度のことを問題とすると作品の勢いが死ぬ。

本作を楽しみにしながらも余計な口出しにならないように応援していきたい。


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