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2024年9月の記事一覧
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)12 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)12藤沢周平『霜の朝』12 「霜の朝」
江戸中期の超大富豪で、幕府の御用木材問屋となり、苗字帯刀を許されたほどに上り詰めた奈良屋茂左衛門は紀ノ国屋文左衛門と張り合ってきた。それは遊びにおいてでもある。紀ノ国屋文左衛門が派手に遊べば、奈良屋茂左衛門は負けじと江戸に奈良屋茂左衛門ありと示すような遊びを繰り広げたものである。
寛永通宝の通用が廃止されるという
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)11 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)11藤沢周平『霜の朝』11 「歳月」
「妹のさちが婚家におつえを訪ねて来たのは、家を出て信吉と所帯を持つための金の無心だった。すでに信吉の子を宿していた。おつえは金を包みながら、さちは、かつての信吉と自分の心の交流のことを知っているだろうか、と思った。」
妹のさちが信助と一緒になるので、姉のおつえに金を貸して欲しいと言ってきた。おつえは一時信助と
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)10 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)10藤沢周平『霜の朝』10 「怠け者」
弥太平は五十を過ぎても怠け者である。甥の紹介で仕事にありつけたものの、すぐに怠け者であることがばれてしまった。
次第に居づらくなってきたが、その中でもおかみのおこんだけは弥太平を普通に扱ってくれていた。そしておこんが外出する時には弥太平が供としてついていくこともあったのだ。
そのお供をしている時のこと、善助とい
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)9 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)9藤沢周平『霜の朝』9 「追われる男」
喜助は音吉という下駄職人の家に隠れ潜んでいた。後は、三木蔵がうまく連絡しておしんが訪ねてくれれば逃げ出せるはずだった。喜助はあるはずみで市次郎という職人を殺してしまった。そのために逃げ回っているのである。
その頃、おしんは迷っていた。かつておしんは喜助の嫁になりたかったのである。だが、喜助に捨てられてしまった。そ
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)8 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)8藤沢周平『霜の朝』8 「禍福」
幸七は以前辰巳屋の手代だったが、今はしがない小間物売りをしていた。その前は井筒屋という店にいたのだが、ある事があって、店を移ることにしたのだ。
幸七は井筒屋にいる時に、店の娘おるいと夫婦にならないかと主に言われたのだが、そのときには幸七にはいそえという女がいたのだ。そのため、この話を断ってしまった。おるいと一緒になった
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)7 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)7藤沢周平『霜の朝』7 「虹の空」
政吉とおかよはもうすぐ夫婦になる。そして、おかよは表店に住みたいという。このことに少し不安を感じる政吉だが、何とかなるだろうと思っている。
政吉には気持ちに引っかかったものが一つあった。それはおすがという母親がいるというものであり、まだおかよには告げていなかった。
このことを告げるとおかよは驚いたが、政吉は継母であ
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)6 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)6藤沢周平『霜の朝』6 「おとくの神」
仙吉は一つの仕事に落ち着くことのない男だった。だが、怠け者というわけではない。しばらくぶらぶらしているかと思うと、再び仕事を始めるのだ。そして、仙吉とおとくは蚤の夫婦だった。
その仙吉が帰ってこない。何かあっても必ず家に帰ってくる男なのにである。どうも、女が出来たらしい。こういうことは以前にもあった。
しかし、今
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)5 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)5藤沢周平『霜の朝』5 「密告」
定回り同心の笠戸孫十郎が伊勢蔵のところに寄った時のこと。伊勢蔵が磯六からの伝言があるといってきた。磯六は父が同心をしている時に使っていた男であるが、孫十郎の代になって縁を切った男である。磯六は際どいネタを持ち込むような男だったのである。
孫十郎は磯六が現れるのを待っていたが、磯六が現れない。不審に思っていると投げ文
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)4 Fujisawa Shuhei's "Frosty Morning" A Digest (Japanese-English Translation)
藤沢周平『霜の朝』ダイジェスト(英語対訳)4藤沢周平『霜の朝』4 「嚔(くしゃみ)」
登城した布施甚五郎を待ち受けていたのは藩主の弟・織部正吉龍の上意討の命であった。これには甚五郎は驚き、同じく剣のたつ藤井源助をと固辞したが、源助は病気で駄目だという。
甚五郎はやむなく受けることにしたが、ひどく憂鬱である。もしかしたら討ちそこねるかもしれない。というのも、甚五郎には緊張した時に嚔が連発するとい