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2024年7月の記事一覧
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)8 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)8
『時雨のあと』8 「鱗雲」
父と妹を相次いで亡くした小関新三郎は 藩境の笠取峠で倒れていた一人の女雪江を介抱し、母が待つ自宅へ連れ帰り、自宅に連れて帰ってきた所から始まります。雪江は二年前に病死した妹と似ていて、母とも心が通った。死んだ妹に生き写しで 母親理久も喜ぶが、仇討ちのため江戸から隣藩に向かう途中だったことが分る。新三郎には父親同士が約束した婚約者、屋代利穂がいたが、いつからか藩内の大
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)7 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)7
『時雨のあと』7 「果し合い」
五十八の庄司佐之助は、若い頃の果し合いが原因で、甥の家族に部屋住みとして面倒を見てもらっているが、疎んじられている。
佐之助に唯一優しい甥の娘美也が、松崎信次郎に思いを寄せ、縄手達之助との縁談を断ると、達之助は信次郎に果し合いを申し込んだ。
美也は剣技が不得手の信次郎を心配して、佐之助に助けを求めた。
佐之助を無気力にさせてしまうほどの過去は悔恨に満ち、美
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)6 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)6
『時雨のあと』6 「秘密」
おみつは七十六になる義父由蔵の様子がおかしいことに気づく。由蔵はボケが始まっており昔のことを何とか思い出そうとしていたところだった。真面目に働いて来た由蔵だったが、若いころ博打にハマり5両の借金を作ってしまった。店の金を盗むことにした由蔵だったが、それを女に目撃されてしまう。しかし女はそのことを誰にも言わなかった。その女が誰だったのか、やっと由蔵は思い出す。
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)5 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)5
『時雨のあと』5 「意気地なし」
隣に住む伊作は、妻を亡くし赤子を抱えて覇気がなく、おてつは腹立たしかった。仕事先に赤子を連れていけず、本当に困っていると知ったおてつは、赤子を預かることにした。
婚約者と一緒にいても赤子のことが気になりだしたおてつの胸に、小さな思いが生まれ始めていた。
赤子の世話を始めたことで母性本能が生まれ始めた様子は、夢を見ていた少女から現実を見る大人の女への脱皮のよ
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)4 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)4
『時雨のあと』4 「時雨のあと」
身体を悪くして以来、すさんだ日々を過す鳶の安蔵。妹みゆきは、兄の立ち直りを心の支えに、苦界に身を沈めた。客のあい間に小銭をつかみ兄に会うみゆき。ふたりの背に、冷たい時雨が降りそそぐ・・・・・。
安蔵は博奕にはまり、妹のみゆきは錺師(かざりし)の見習いで金がいると信じて、女郎屋で働いた金を渡している。みゆきの風邪で寝込む姿を見て、安蔵は思い出した。子供のとき二
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)3 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)3
『時雨のあと』3 「闇の顔」
「城内の石垣修理現場で、夜の見回りの藩士によって二人の侍の死体が発見される。当夜の見回り指揮者、瀬尾の初動の現場検証によって、一人は額を斬られており、もう一人は肩から背骨にかけて袈裟に斬られていた。額を斬られたのは普請奉行の志田弥右衛門、もう一人は同奉行助役の大関泉之助であることが明らかになった。状況から見て二人は何らかの理由で争い、相打ちになって共に倒れたように
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)2 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)2
『時雨のあと』2 「雪明り」
菊四郎は古谷の家から、実家から比べれば、家格ははるか上の芳賀家に養子に入っていた。入るにあたって、古谷の実家とは縁を切るという条件であった。ある雪の日、菊四郎は、偶然、実家の妹由乃に出会う。由乃は父の後妻の連れ子であった。また。宮本清吾の家に嫁に入るのが決まっていた。菊四郎自身も、養家の牧乃に姪の朋江との縁談が決まっていた。実家の父より、由乃の事で相談を受ける。そし
藤沢周平『時雨のあと』+α ダイジェスト(英語対訳)1 Fujisawa Shuhei's "After the Drizzling Rain" + α A Digest (English Translation)1
『時雨のあと』1 概要
藤沢周平デビューから9冊目の作品です。「雪明かり」「闇の顔」表題作「時雨のあと」「意気地なし」「秘密」「果し合い」「鱗雲」の全7編収録。不遇な町人や下級武士を主人公に、江戸の市井に咲く小哀話を、繊麗に、人情味豊かに描いています。ある出来事を越えたあとに待っている希望や暖かさなどを描いた作品はどれもが人の愛情に満ちています。
男女の愛を描いたものが多いのも特徴です、「
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)20 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)20
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)20(論考)
藤沢周平が人から示された浮世絵から、女主人公や登場人物の女のイメージを取り出して文章化し、表現していることが驚きです。この話は江戸の女たちの十二ヶ月であって、作者が述懐しているとおり「一月から十二月まで季節に対応した話」なので、「雪」「うぐいす」「朧月」「つばめ」「梅雨」「朝顔」「晩夏光」「十三夜」「秋の夜」「枯野」 「
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)19 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)19
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)19 (あとがき)
「「江戸おんな絵姿十二景」はかなり前に文藝春秋本誌に1年間連載したもので、1枚の絵から主題を得てごく短い一話をつくり上げるといった趣向の企画だった。一話が大体原稿用紙十二、十三枚といった分量ではなかったかと思う。いわゆる掌篇小説である。(中略)・・だから 「江戸おんな絵姿十二景」には若干の遊びこころと小説家としてこ
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)18 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)18
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)187 品川洲崎の男
みちは目の前を通った男に目をやった。男はみちと少し前まで訳ありだった人物である。男の名前は知らない。その男が若い女と一緒に歩いていた。
藤沢最後の作品集におさまる短編「うぐいす」である。なんでも、藤沢が愛した浮世絵から発想を得て、書かれたものがこの「日暮れ竹河岸」には集められている。藤沢といえば歴史に名を残すよう
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)17 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)17
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)176 桐畑に雨のふる日
ゆき10歳の時に父由松が失踪した。そして9年が経つ。ゆきは駿河屋に通いで勤めている。ゆきが父の消息を知ることと、ワタリ修業を済ませた24歳の大工豊太と夫婦になると決心するまでの過程がゆきの父親への思いを軸に描かれて行く。
ゆきは勝ち気に思われるが、ほんとうは臆病な女だった。一人暮らしの家に戻ると灯りがついて
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)16 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)16
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)165 猿若町月あかり
下駄雪駄鼻緒問屋相馬屋の奉公人が店の戸を閉めようとした時に、主人善右衛門のもとに、甥の富蔵が現れる。5両の借金依頼である。善右衛門は話を聞くが追い返す。だが、その後、3両の金を包んで富蔵を追いかける。善右衛門の心理の変化が巧みに描かれていく。善右衛門が行う己の心理の変転の振り返りが興味深い。自分中心に物事を考え
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)15 Fujisawa Shuhei “Takegashi at Sunset” (English Translation)15
藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』ダイジェスト(英語対訳)154 大はし夕立ち少女
さよは外にお使いに出るのが好きだった。大体はおかみさんの使いだが簡単な店の用を頼まれることもあって、 さよは店と奥の両方から重宝にされていた。「さよはほんとにかしこい子だよ。長吉とは大違いだ」と おかみさんが言う。長吉はさよよりひとつ齢上の小僧だが、春ごろに二度も道に迷ってお使いをはたせずに帰って、 お