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2023年5月の記事一覧
藤沢周平『山桜』ダイジェスト、英語対訳 4 Fujisawa Shuhei "Yamazakura( Wild Cherry Blossoms )" : A Digest, Japanese-English translation 4
4 (あらすじ 3)
夫が病死して家に戻された後、野江の再婚話がいくつか持ち上がった時に、手塚弥一郎は縁談に出てきた一人だった。
「去水流という、めずらしい剣を遣っての。大変な腕前と聞いた」
遠い親戚が持って来たその話を、父親は気に入ったのだが、野江は気がすすまず断った。
剣の名手と聞いただけで、勝手に、酒癖が悪く、粗暴な男と思ってしまったのだ。
野江は、手塚弥一郎の名を、そのころいくつか持ち
藤沢周平『山桜』ダイジェスト、英語対訳 3 Fujisawa Shuhei "Yamazakura( Wild Cherry Blossoms )" : A Digest, Japanese-English translation 3
3(あらすじ 2) 山桜が咲き始めたある日、野江は若くして亡くなった叔母の墓参りのため郊外の寺を訪れた。そしてその帰り道に、ある山桜の木の下で手塚弥一郎という武士に偶然出会う。手塚は最初の嫁ぎ先から実家に戻った後、野江に持ち込まれた縁談相手の1人であった。
その道で、野江は一本の山桜に出逢う。
清楚な花も、これだけ折り重なって咲いていると、豪華な趣がある。
見上げているうちに、野江はひと枝欲し
藤沢周平『山桜』ダイジェスト、英語対訳 2 Fujisawa Shuhei "Yamazakura( Wild Cherry Blossoms )" : A Digest, Japanese-English translation 2
2 (あらすじ 1)
主人公の野江の実家は、家禄百二十石を頂き、父親は郡奉行を勤める藩内では上士に分類される家であった。5年前の18歳の時に津田という家に嫁に入ったが、2年前に夫に死なれ、子も出来なかったので実家に戻された。1年前、磯村の家に再嫁したが、いまはその再婚が失敗だったと思っている。家禄六十五石の磯村家は勘定方に勤めるれっきとした家中なのに、金貸しなどをして、一家挙げて蓄財に狂奔してい
藤沢周平『山桜』ダイジェスト、英語対訳 Fujisawa Shuhei "Yamazakura( Wild Cherry Blossoms )" : A Digest, Japanese-English translation
藤沢周平『山桜』ダイジェスト、英語対訳 1
Fujisawa Shuhei "Yamazakura( Wild Cherry Blossoms )" : A Digest, Japanese-English translation 1(はじめに)
藤沢周平の短編集『時雨みち』(1981年4月 )所収短編11編の一つ。帰還せず/飛べ、佐五郎/山桜/盗み喰い/滴る汗/幼い声/夜の道/おばさん/亭主の
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 10
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(映画化)
『花のあと』は2010年、東映の配給で映画化され、3月13日に公開された。中西健二監督、北川景子主演の時代劇映画。ロケは鶴岡公園の疎林広場の西側、致道博物館前のお堀端で行われています。鶴岡公園は、『日本の桜百選』 に選ばれた桜の名所でもあります。花見の場所や以
『花のあと』ダイジェスト英語対訳9
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 8
才助は犬の血を勘解由の刀に塗り、果たし合いの結果を装う細工を行った。藤井は収賄の罪も発覚し家は断絶した。才助はこの後、以登との間に7人もの子を儲け、出世を続けて長く筆頭家老を勤めたのである。
才助との祝言が済んだ翌年、以登は花見に赴く。しかし、満開なのに
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 8
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 7
以登が、藤井勘解由を五間川の岸辺に呼び出したのは、夏の終わりごろだった。詰問をしても、薄ら笑っているだけだった。その姿に、さすがの以登も背筋が冷たくなった。それに藤井は無楽流の居合を遣うという。侮れない。藤井は以登がここに来たことを知っているものがいない
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 7
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 6
それから2年後に孫四郎が自裁した。以登は許婚の片桐才助に使いをやって、事件の真相を探ってくれと頼み込んだ。風采のあがらぬ男だったが、秋には祝言がある以登にはこの男しか頼る者はいない。才助の調べでは、孫四郎は初めての幕府への使者で、たまたま来合わせていたらし
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 6
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ)5
それから一年近くたった四月の末。以登が供のおふさと出かけた城下から二里ほどの湯治場の近くで、加世と17も年が上のかつての噂の男藤井勘解由が一緒にいる現場を見てしまった。白昼、ひともなげな…。このままでは済むまい。以登は暗い気持ちでそう思った。いずれは孫四郎
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 5
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 4
以登には婿を迎える話が決まっており、父から二度と孫四郎に会ってはならんと言われた。以登は胸の中で終わった恋の行方を追っていた。そして孫四郎にも内々の縁組の話が進んでいるらしかった。孫四郎の婿入り先の相手は以登よりも2つ上の加代で、習字とお手前を習いに通った
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 4
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 3 江口家は百石の勘定組で、羽賀道場の筆頭である孫四郎は冷や飯喰いと聞く。江口孫四郎と会う直前に以登は婚約がととのい、婿を迎える身となっていた。その前に、父・甚左衛門は丹精して育てた以登の剣を外で試したかったのだろう。以登は屋敷に帰って父親に江口孫四郎と試合をさ
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 3
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 2
その武家の娘である以登にほのかに想いをよせて、満開の桜の下で、羽賀道場の江口孫四郎は帰り支度をしていた所に彼女に声をかけてきた。先日の道場で以登が二の弟子、三の弟子を破ったことを褒め、機会を見て手合せ願いたいという。以登の家は組頭で、時には中老や家老を出
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 2
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(あらすじ) 1
「七十五歳生きた先々代の殿・雲覚院はさばけた方で、春の季節になると、家中の女子どもに城の二の丸に入ることを許してくれた。今は許されなくなった昔の話である。
うわさがあった。それは花見の女子どもの中から見目の良い娘を物色しては御城に召したというのだ。事実
『花のあと』ダイジェスト英語対訳 1
『花のあと』(花のあと-以登女お物語)ダイジェスト英語対訳
After the Full Bloom (A Digest、Japanese-English Translation)
(はじめに)
藤沢周平作品「花のあと」は、海坂藩を舞台としたいわゆる「海坂もの」のひとつで、主人公の女剣士・以登が晩年、孫たちに若き日の思い出を語る形式で物語が展開する。たった一度剣を交えた江口孫四郎への秘めた想