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2022年4月の記事一覧
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(20)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(20)
20 文四郎とふくの再会 (最終章)
*それから20数年後、ふくを寵愛した藩主が亡くなって1年近くたったある日、助左衛門の名を受け継ぎ郡奉行となっていた文四郎は、突然ふくから呼び出しを受ける。そして、懐かしく言葉を交わした後、二人は肌を合わ
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(19)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(19)
19 ふくからの手紙
*欅御殿事件では、一時避難した藤次郎宅から加治織部正の屋敷まで、ふくは文四郎に連れられて逃避行をした。事件の後、側室おまんに代わって城奥の支配者となり、文四郎と直接会うことは長らく無かった。しかし、20数年後、側室と
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(18)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(18)
18 文四郎が密命を受ける
*21歳の時、里村家老に呼び出され、里村が属する派閥の領袖である元中老の稲垣と里村に、欅御殿に潜むふくの息子を里村の屋敷に連れてくるようにとの密命を受ける。罠の臭いを感じた文四郎は、逸平と布施と共に欅御殿を訪れ
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(17)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(17)
17 ふく欅御殿に移り男児出産
*ふくは17歳の時、藩主の親族である旗本屋代家に預けられた。しかし、その後密かに国元に送られ、藩主の持ち物である金井村の欅御殿に移された。その時、藩主の子を宿しており、その年の夏に男児を出産した(この子は早
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(16)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(16)
16 文四郎の結婚
*文四郎が秘剣村雨を伝授された前の年、家老の里村に呼ばれ、家禄を28石に戻し、郡奉行支配となる旨を告げられる。20歳の時には、正式に郷村出役(でやく)見習いに任じられ、岡崎せつを妻に迎える。後に1男1女にめぐまれた。
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(15)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(15)
15 文四郎「秘剣村雨」伝授
*18歳の秋、文四郎は松川道場との対抗奉納試合で興津新之丞に2勝1敗で勝利し、石栗弥左衛門が考案した「秘剣村雨」を、唯一の伝承者である加治織部正を通して伝授されることとなった。
熊野神社の奉納試合は、例年
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(14)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(14)
14 文四郎、群奉行支配となる
*文四郎18歳の正月に、道場の席次が5位となる。同年3月、里村家老の屋敷に呼ばれ、家禄を28石に戻した上、郡奉行支配となる旨を告げられた。
老人と大きな机をへだてて、もう一人の男が座っていた。顔も眼も大き
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(13)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(13)
13 ふくが藩主の側室となり流産
*ふくは15歳の時、藩主の手が付いて側室となった。すぐに子を身ごもったが、この時は流産してしまう。それについて与之助は、側室おふねの陰謀だという噂があると文四郎に語った。また、その後送られてきた与之助の手
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(12)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(12)
12 ふくが江戸へ
*ふくが13歳の時、藩主正室の寧姫に仕えるため、江戸に向かった。その直前に牧家を訪ねてきたが、文四郎とは会うことができなかった。
家にもどると、母がすぐに言った。
「あの子に会えましたか」
「いやそれが、
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(11)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(11)
11 ふくの手助け
しかし、迂回(うかい)して平らな道をたどる体力がもう残っていないこともわかっていた。迂回すれば、途方もなく遠い道になる。死力をつくして坂道をのぼるしかなかった。と、足軽屋敷のはずれまで来たとき、車は不意に軽くなった。
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(10)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(10)
10 父の切腹と遺体運び (2)
武家町や寺町といった、人通りの少ない道に入るとほっとした。文四郎は道に梶棒(かじぼう)をおろし、喘(あえ)ぎを静めながらさかさまに天を指している青白くて大きい父の足を見る。すると、いかにもいま父と二人き
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(9)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(9)
9 父の切腹と遺体運び (1)
*16歳の時、文四郎の父が藩内の抗争の犠牲となって切腹させられ、苦難がふりかかる。文四郎が父の遺骸(いがい)を車にのせ、坂をのぼろうとする場面。坂の上にある雑木林で、騒然と蝉が鳴いている。喘いでいる文四郎の眼
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(8)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(8)
8 友情(2)
道場がある鍛冶町から、裏道を少し歩くと五間川のひろい河岸通りに出る。道場を出た文四郎と小和田逸平、島崎与之助は、まるめた稽古着を竹刀にむすびつけて、と言っても不精者の逸平は紐を結ぶ手間を嫌って稽古着に竹刀を突っ込み、それがま
『蝉しぐれ』(藤沢周平)紹介・英語対訳(7)
An Introduction to “The Cicada Buzz”(Fujisawa Shuhei)・English Translation(7)
7 友情 (1)
*市中の剣術道場と学塾に通い、生涯の親友である小和田逸平や島崎与之助との友好を温める。文四郎と友人たちとの言葉のやりとりは、旧制中学の生徒たちの友情とはこのようなものか、と想(おも)わせる。
文四郎は昼前は居駒礼助の