自分の好き、を開放して、好き、だけを見る
お小遣いをファッション誌に使うようになった中学生の頃から、私の唯一の趣味はスクラップだった。
毎月数種類のファッション誌を切り刻み、大学ノートに貼っていく。
まずは予選。
ただただ気に入ったものを並べ、ベタベタ貼るノート。
それがいっぱいになるとそこから厳選作業が始まる。
厳選用のノートを用意して、予選ノートと並べる。
私は正座である。
これから行う作業はスクラップの中でもいちばん重要で集中力のいるものだからだ。
ひとつひとつの切り抜きを見て、本当にこれが、心から好きなコーディネートか、自分に問いかける。
とにかくファッション誌の発売日が楽しみ。
そして早く切り刻みたくてウズウズしてくる。
でもずっとこれは恥ずかしい行為だと思っていて、
私は家族の誰にも見つからないようにやっていた。
出来上がった予選ノートをこっそり取り出しては厳選ノートのレイアウトを考える。
厳選ノートをこっそり取り出してはこんな服が欲しい、あれに合わせてみたい、と妄想する。
だが残念なことにこの隠れた行為も時代の流れと共に、終わりを迎えた。
お気に入りの雑誌が次々と廃刊になったのである。オリーブ、MCシスター、ピーウィー、ヴァンテーヌ…素材が、素材が手に入らない!助けて!
しかし。
進化した私は、画像を保存することを覚えた。
やってることは同じ。まずは予選ノートと同じとりあえずの予選アルバム。スマホで検索した欲しい服、素敵な人、コーディネート、髪の手入れ方法、新しいファンデーション、柔らかそうなパジャマ、美味しそうな紅茶。なんでもかんでも放り込む。
これは!
切り刻むよりはるかに早く、膨大な数の好き、好き、好きの集合体。
集まり方ハンパない。
しかもお金かからない!
そしてもちろんこれらの画像を厳選することを忘れない。
厳選アルバムのいろいろは次回説明しよう。誰にも聞かれていないがな。
では中学生から大切にしてきたノートたちは?
というと、相変わらず宝物である。
おばさんになった今でも、自分が作ったページに感心するし、こういうの好きだなあと思う服ばかり。
ここをきちんと押さえていると、自分らしさをミックスできるんじゃないかなと思っている。
自分の好き、を解放して、好き、だけを見る。
誰にも邪魔されず、年齢や役割や世間体とか手放して、これがいい!と思うものを抱きしめる。
そこを基本として、やっぱり年齢とか役割とか世間体をちょっと考えた、
そんなパーフェクトクローゼットを完成させたい。