誰に守られてる?
小学生の低学年の時、毎朝、知らないおじさんに、「チューしよう」と言われた。
首を横に毎朝振ったから、一度もチューしたことはないけど、今考えるとヤバいよね。
横浜市だったからポツンと一軒家ってほどではないけど、団地の中にあった小学校までずいぶんと遠かった。歩いている人はほとんどいなかった。
友達が隣の家の犬だけだった私は、いつも1人で、隣の家の犬を無断で連れ出して(首輪はしてたけど、自由なんだもん。呼べば来るんだもん。)、真っ暗な竹藪の中に入って遊んだ。竹藪をずーっと進むとスポットライトが当たってるみたいな小さな丸い広場に出た。そこに行きたくて怖い竹藪を歩いた。野犬に出会うと、隣の家の犬はケンカを始めちゃうから、置いて来た。次の日はちゃんと隣の家にいたから、1人で帰ってたんだね。昔の犬ってすごくない?
竹藪では、一度も誰にも会ったことはない。人の気配がないの。野犬だけ。絶対、狂犬病の注射してない。今、考えるとヤバくない?
大きな工場があって、そこの前は雨が降ると川みたいになって、そこで丸い石を探すのも楽しかった。工場から人が出て来たことはないし、ずっと私1人だった。ただ、広い空き地で砂利を夢中で拾うミニスカートの6才の私って、相当無防備じゃない?今、考えるとすごく怖いんだけど。
でも、普通に暗くなって家に帰って、ご飯を食べた。何事もなく、大人になった。
これって、結構すごいことなのでは?
で、多分だけど、私はずーっと何かに守られてたんじゃないかな?
今、やっと気付いた。
なんか、ありがとう。
きっと今も、おばさんになった今もガッチリ守ってくれてる気がする。
御礼に何かできるといいんだけれど。