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ボーイズグループの沼の淵に佇んで

同僚が、ボーイズグループのCDをくれる。
トレーディングカードや、ライブチケットの応募用シリアルナンバーを抜き取った後のCDだ。
誰なのか知らないが、とりあえず仕事の行き帰りに車で毎日聴く。
何人組かも分からないが、耳馴染みよく、歌も上手いので毎日聴く。
職場では、同僚が小出しにボーイズたちの情報を提供してくるので、とりあえず毎日聞く。
そして、いつのまにか、全曲歌えるようになり、何人組なのか、何歳なのか、フルネームも出身地も分かるようになっている。

沼の、淵に立っている。
いや、やめてくれ。

きれいな顔で、少年のような声で、大人が作った艶々歌詞を自分の言葉のように歌っちゃダメ。
子供のくせに、私に向かって、
『こっちにおいで』とは。
ガキのくせに、私に
『君しかいない』だと?!
いいかげんにしなさい!
怒るよ!

同僚は息子を見ているよう、応援したくなっちゃうって言うけど、そっちの方がおかしいだろ。
息子が母に離したくないって言うのかよ。
話したくない、だろ!(うまい)

私は今日も、再生ボタンを押すことを我慢できない。若い男の子の声を耳に入れてドキドキする行為は、女子高生をお金で買うおじさんと何も変わらない。こんなこと、続けていていいわけがない。

私が一曲聴くたびに、ボーイズが汚れていく。
ごめんなさい、ごめんなさいと心で詫びながら、結局全曲聴いてしまう。

もうこれ以上、罪を重ねたくない。
沼を埋めたてろ!
ボーイズよ、早く大人になってくれ、
そしてオジサンになってしまえ!
こっちへおいで!君たちが!


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