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1 旧朝香宮邸(東京都庭園美術館) 【1 きっかけと準備】

【きっかけ】

東京都庭園美術館はJ目黒駅から徒歩でアクセス可能です。その建物全体と細部の形、構造、そして庭園はいずれも優雅で、なんとも言えず美しいのです。戦前はこの美術館は皇族、朝香宮の邸宅だったそうです。パリ滞在中の朝香宮ご夫妻がアール・デコ様式に魅せられ、帰国後にこの様式の邸宅を建てました。戦後は吉田茂の住居となり、その後変遷をへて、現在に至りました。私はこの美術館に何回も出かけ、すっかり魅了され、ミニチュアモデルを作ることを思い立ちました。

【準備】

ミニチュアモデルの設計図を描くという観点から建物の写真を撮影しました。入口側から、庭園側から、そして裏側から・・・。建物内の展示室に行ったら資料の本がいろいろ置いてあり、その中に昭和6~8年当時の設計図(なつかしい青写真)があったので、それも撮影させてもらいました。ただしこれはすべて側面図なので、間取りがわかりにくい。そこで、ミュージアムショップで販売していた本を購入し、そこに掲載されていた間取り図をコピーしました。
 
 これらの図を見て、この建物の形が複雑であることを再認識しました。庭園側から見ると2階建ての高い建物ですが、裏側から見ると1階建て。それに加え、中庭がある!二階の男子トイレの窓をそっと開けると中庭を見ることができ、防火用の池、ペンギンの像があることがわかりました。なんと凝っていること。これも写真撮影。このように複雑なのは、過去に増築、改築が繰り返されたためであることがわかりました。

 さて、問題は屋上の形と構造です。上記の図には屋上は描かれておりません。撮影することもできません。航空写真が必要です。ところが、幸運なことに平成30年12月22日(土)テレビ東京番組「美の巨人たち」で「世界を魅了!アール・デコ建築『東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)』が放映されました。建物の航空写真も登場しました。そこでこの画面を撮影して観察しました。屋上にあるウインターガーデンの窓の形もわかりました。以上のように集めた資料をもとに屋上の設計図を描きました。
 予想以上に大きな建物であることを実感しました。そこで思い切って縮尺1/300とし、庭園スペースを含めた全体の面積がA4版を少し超える程度になるまで小さくしました。これはNゲージ鉄道模型のジオラマの寸法(縮尺1/150)の半分の大きさです。

建物の外観 左:入り口側から。中:庭園側から。右:裏側から。 丸窓や換気口の透かし彫りが凝っています。
 中庭の池、ペンギンの像。そして窓の形も美しい。
昭和6~8年当時の設計図(左)、間取り図(右)。
建物の航空写真。(平成30年12月22日(土)テレビ東京番組「美の巨人たち」の画面より。)


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