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ライブイベントという最高の体験を全国へ|Fire Cracker株式会社【会員インタビュー】

Fire Cracker株式会社は「テクノロジーで体験をアップデートしつづける」をミッションとするITコンサルティング会社です。DX/生成AI/CRM/MAの推進支援、デジタル人材育成(リスキリング)を中心に事業を展開しています。ITスキルもAIに代替されることを見据え、どこよりもAIを使いこなし人間にしかできない活動を極めることにシフトしていく。北大を卒業し東京でのCTO経験を経て、札幌で創業する想いを代表取締役の米澤聡さんにお伺いしました。


SaaS・生成AI活用といえばFire Crackerという立ち位置

ー主な事業内容をお聞かせください。

Fire Crackerは2021年に札幌で創業しました。中小企業のDX推進を軸にITコンサルティング、リスキリング、生成AI/CRM/MAの推進支援などをメインに行っています。

ー特に重視している事業はありますか?

課題起点で問題を解決することにこだわったITコンサルティングを行っています。ITコンサルティングでは、お悩みをヒアリングすることから始め、SaaSや生成AIなどITツールの活用で利益の最大化を目指せる提案をします。

わかりやすい具体例としては、社員それぞれが持っている顧客情報を活かしきれないというお悩みから、社内で顧客情報が一元管理できるデータベースを作成し、情報の検索や活動の可視化ができるシステムと業務フローを作成しました。

例えていうならば、ITコンサルティングは「医者」のような役割です。そしてITツールは「薬」。腹痛で悩んでいるのに頭痛薬では役に立たないのと同じく、どんなお悩みでもITツールなら解決できるというものではありません。「生成AIの活用」と言っても、やみくもに生成AIを使用するという意味ではなく、最初にクライアント様のお悩みの本質を特定することが仕事の9割を占めると言っても過言ではないんです。

大抵の場合、クライアント様は目に見える顕在化したお悩みを認識されています。そのお悩みをすぐに解決しようとするのではなく、顕在化したお悩みのさらに奥にある潜在的な問題を見極め、そこに解決策を当てていくことが重要になってきます。それが課題起点を重視する理由です。

コンサルティングでは「現状の分析→理想像の設計」の順番で話を進めていくのですが、話を聞きながら内容を見える化していく作業も得意としています。こちらから仮説を出しながら、クライアント様のお悩みがだんだんと言語化・構造化されていくことはコンサルティングならではの価値です。

現在は、生成AIでお悩みを解決しようとしても、あくまで「お悩みの周辺の解決」にすぎません。そのもっと手前にある業務フローや組織の問題であることも多々あります。

ただ、今ここで生成AIを使い始めるかどうかが分かれ目になります。今後、AIが進化してお悩みの根幹に到達するようになったときに、生成AIを使っていない企業と大きな差をつけることができると思います。

また、デジタル人材育成(リスキリング)の研修にも力を入れています。中小企業での生成AIのリスキリングが進むと、今まで一日がかりだった作業が数分で終わるようになるかもしれません。
電卓でやっていた作業がExcelになった時のように、今後はAIが作業するようになっていきます。たとえばメールとスケジュールがAIと繋がっていれば、複数人でのスケジュール合わせも日程候補の選定からメール本文の作成までAIがすべて終わらせてくれます。人はチェックするだけの数分で作業は終わりです。

いままで手作業で行われていたことが自動で行われるようになると、「楽になった」「作業効率が上がる」と受け入れられる一方で、「怖い」「信じられない」と感じたり、「わからないから使わない」という社員も出てきます。リスキリングは全員に必要だと思っていますが、理解度は人それぞれなのも確かです。そのうえで一定のボトムアップを図れるよう、レベル2の「生成AIのツール導入の準備ができている状態」までは全員が到達することを目指します。(レベルについては生成AI・リスキリングのレベル感の図を参照)


▲生成AI・リスキリングのレベル感

生成AIを使うことでインパクトが出ることが予想されるのであれば、最初から生成AIが作業をしてくれる前提でシステムを組む提案もしています。そうすることで生産性が3年後には10倍になるといっても過言ではありません。

幅広い選択肢から最適なツールを提案

ー特に中小企業に必要だと感じていることはありますか?

この規模の会社の課題解決の手段としてSalesforceは不向きなのでは、と感じる場面が多いです。実際に使いこなせていない企業も多い印象です。その代わりにHubSpot、Notion、kintone、Excelでもいいんです。弊社はシステムだけを販売する代理店ではないので、幅広く最適なものを提案することができます。もちろんSalesforceでもいい。ただ、私がITコンサルティングをする強みは「Salesforceを脱却するか推進するか。脱却する場合、どのツールが最適か」を多くの選択肢の中から提案できることです。

ー提案するツールはどのように選んでいますか?

自分が実際に使用し活用方法がわかることはもちろん、サービスを作っている会社の規模を見ています。もともと自身がエンジニアだったこともあり、システムがどのように作られていくのかがわかります。その為、規模が大きい会社がリリースしているものであれば、この先の機能の改善が見込めるのです。このあたりは自分がSaaSに詳しいからこその提案になってきます。

私は、大学の工学部情報エレクトロニクス学科で学びはじめたところから今に至るまで、15年以上ずっとIT業界に携わっている自負があります。その強みがコンサルティングで活かせていると思います。

Fire Cracker株式会社 代表取締役の米澤聡さん

人材の逆流を起こしたい

ー東京での創業経験を経て、札幌で新たにスタートされた意図は?

もともと北海道大学を卒業後「札幌で働きたい」と思っていたので、大手企業の札幌支店でエンジニアとして働き始めました。その後、ベンチャー企業を経験しフリーランスエンジニアとして独立。東京でCTO(最高技術責任者)として共同創業の経験もあります。

ZoomなどITツールが発達し、地方で創業するデメリットが少なくなってきた頃、自身が代表としてやってみたいという思いもあり札幌での創業に至りました。また北海道大学在学中から、学生に道外出身者が5割近くと多いことが気になっていました。現在は7割ほどが道外出身者のようです。道外から入る人が多いので、おのずと卒業後の道外就職率も上がっています。優秀な人が北海道内に残っていかない傾向がある印象です。

若者が都会へ出る経験は必要だと思っていますが、自分が札幌で魅力的な会社を作ることで「札幌に面白い会社があるからこの会社に入りたい」という道外からの逆流を起こしたいと考えています。

たまたま自分は北海道で生まれて、ここからどう引き上げられるか、反骨精神のようなものもあります。ここで働く意味を持ちたい。今までたくさん失敗をしてきたと思っているので、黒いオセロを最後にはすべて白くひっくり返すイメージで会社運営をしています。

ー社名「Fire Cracker」のイメージそのままのようですね?

firecrackerは爆竹という意味ですが、実はこの社名には「現状に亀裂を入れ、新しい火を焚き付ける存在」という意味も含んでいます。個人的にロックバンドが好きなこともあり、ロックなイメージをそのまま社名につけました。ベンチャー企業らしい名前で気に入っていますが、まだ実際に体現できていないことが悔しいです。

会社のVision「最高の体験を創る」、Mission「テクノロジーで体験をアップデートしつづける」も、社名と同じく自分がロック好きというところが起点になっています。


▲米澤さんの思い

ライブイベント領域の事業化

ー最高の体験とは?

短期的には、ITというテクノロジーを活用し人間の作業時間を減らすことでより良い体験を増やす取り組みをしています。ですが数年後にはITコンサルティング自体もAIが行うようになる世界を予想しています。

そうなったとき
「誰よりもAIを活用したうえでAIにできないことをする」
ことが重要になると考えています。

人にしかできないことを追求する為にAIやテクノロジーのことを誰よりも熟知した上で、長期的な目線では人にしかできない「ライブイベント」領域で事業化をして、全国のライブイベントがより最高の体験になるような事業を追求していきたいと考えています。

ーライブイベントとITコンサルティングはまったく異なる印象ですが?

テクノロジーを駆使してコスト削減などでライブイベントを支援していくことは、実はITコンサルととても似ています。結局は課題にフォーカスし問題解決をすることが重要だからです。もちろん、先ほど紹介した顧客情報の一元管理のシステムのように、イベントの参加者をデータベースに蓄積していくことなども考えられます。

今は必要とされている市場で事業展開していますが、ロックだけでなく「エンタメ好き」だけが集まる会社に成長させることができれば、いい仲間とともにライブイベント事業を全国に展開していけると考えています。

ライブイベント事業はコツコツやっていこうと思います。今はフェスではありませんが、定期的に主催しているNotion勉強会がリアルで開催しているイベントです。3年ほど継続していて、Notionを勉強したい方や交流したい方が集まっています。

ーロック好きが仕事に活きている点はありますか?

ロックが好き、ライブイベントが好きであることを採用の条件にしています。大手コンサル会社に優秀な人材が流れることは目に見えているので、あえて「エンタメ好き」を条件に入れることで、仕事以外で共通の楽しみがある仲間が集まり、日々の仕事も「最高の体験」になると考えています。

いい仲間が集まり、いい体験を外部に提供することはバンドの概念に近いと思っています。バンドが曲を作りライブをするイメージと「Fire Crackerで働く」ことが似ていると考えてもらえると嬉しいです。リモートで働くこともよいのですが、集まることに意味があると考えています。「会社主催のロックフェス」という案もあり、その実現に向けて働いてくこと自体が最高の体験になると思います。Vision、Missionは社外に提供する価値でもありますが、社内メンバーが体感することも重要です。

「どれだけ尖れるか」で集まる仲間がいる

ー採用したい仲間に求めるものを教えてください。

エンタメ好きを前提に、ITスキルの高さではなくPM(プロジェクトマネジメント)力の高さを求めています。PMスキルさえあればスキルはAIに任せられると考えているからです。例えばプロジェクトに法律の知識が必要だとしても、知識に関してはAIに聞くことができます。AIを使うことすらマネジメントスキルなんです。

加えて、自分がどうしたいのか意見を持ったうえで、相手視点に立ちマネジメントしていける力を求めています。自分が「エンタメ好きの仲間を集めてよい会社を作りたい」と強く思うのと同じく、「ビジョンに共感して働くことに熱量を持てるかどうか」を重視しています。

「どれだけ尖れるか」がこの会社に良い仲間が集まる条件だと思っています。熱量の高い組織ができあがり、年々ライブハウスの規模が拡大していくロックバンドのような成長をしていくイメージで、仲間を集めていきたいと思います。


インタビュー中、実際にコンサルティング時に作ったチャート図を見せていただきました。会話をしながら瞬時に文字・アイコンを使ってわかりやすく構造化していくスキルは「努力して身につけた」と米澤さんは仰っています。AIを駆使すること、努力すること、ロックやフェスについて熱く語る姿からは人間らしさがにじみ出ており、すでに米澤さんにしかできないことをし続けている姿を見せていただいたようでした。

取材日2024年12月16日/北海道IT推進協会 広報委員会 ライター 吉川明子

[企業プロフィール]
Fire Cracker(ファイヤークラッカー)株式会社
利益の最⼤化を目的として、課題起点にこだわりITコンサルティングとDX推進支援を行います。

・代表者/代表取締役 米澤 聡
・設立年月/2021年4月
・事業内容/ITコンサルティング・DX推進伴走支援・DX人材育成(リスキリング)・新規事業開発支援・クラウドツール導入支援
・所在地/ 札幌市
・URL/https://firecracker.jp/

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