海外進出と多国籍採用で広がるITビジネスの可能性|株式会社イークラフトマン【会員インタビュー】
インタビューを引き受けてくださいましたのは、株式会社イークラフトマン 代表取締役 新山 将督様です。
海外進出と日本での外国人採用について、お話を伺いました。
ーまずは、ベトナム進出についてお伺いしたいと思います。ベトナムを選ばれた理由とは何でしょうか?
もともと海外志向で、海外に拠点を設けるという戦略上の想いがありまして、最初は中国で業務提携しながらビジネスを行っていたのですが、政治でビジネスが滞るというリスクを経験しましたので、別の国を考えていました。
その後、視察でタイとシンガポールに行きましたが、雇用条件やコスト面が難しい状況でした。
で、ベトナムです。
親日国家と言われていますし、ITもできる。東南アジアを見据えたとき、ITがコストパフォーマンスよくできる国がベトナムでした。それと、出会った人に恵まれたといいますか、信用できる方々とコミュニケーションがとれるということも重要な要素でした。
ー以前と比べてベトナムの「コスト」も上がってきていると思いますが、いかがですか?
そうですね。ベトナムの経済成長率が年7%ですから、凄いスピードで上がっています。ですので、ベトナムの皆さんは頻繁にジョブホップをしたりします。
しかし、日本の労働力不足や高齢化とは真逆で、リソースはとても潤沢です。札幌ですと、なかなかエンジニアの確保が難しく、奪い合いになっていますが、我々は早期にベトナムでコネクションを構築した強みもありますので、エンジニア不足で困るということは無いですね。
ーベトナムでのビジネスの難しさ、という部分を少し教えていただけますか?
ベトナムで品質が安定するのに5年かかりましたね。コツといいますか、学んだことは、現地に行って、自分で見て、自分でやる。ということですね。
色々とやり方はあると思いますが、例えば監視を厳しくするのか、或いは相手に意識改革をしていただくのかなど。
私は意識改革といいますか、相手に仕事に対する考え方、マインドの部分をしっかりと持って、定着していただけるように取り組んでいました。
ーなるほど、育てていくというスタンスですね。
それに尽きますね。
それと、ベトナムの方に「ビジネスの前に人付き合い」と言われたことがあります。日本人はすぐにビジネスから入ろうとするが、そうじゃなくて、まずは友人にならなきゃと。
逆の立場だとよく分かりますよね。日本人と同じように、ベトナム人も相手を信用できるかどうか、しっかりと見ています。
ー今後の海外での展開について、お聞かせいただけますか
ベトナムは一つのハブといいますか、マーケットと考えています。
ベトナム以外では、シベリアですね。2年前から行っています。ロシアやそこに関わる諸国にはものすごく優秀なエンジニアがたくさんいますし全体的にエンジニア気質を強く感じました。
自分から見て尊敬できるエンジニアリングが向こうにはあります。
ー海外に目を向けられたのは、好奇心からでしょうか?それとも危機感からでしょうか?
両方ですね。危機感という意味では2つありまして、1つが攻め込まれる危機感です。
ITにおいては各分野でグローバルスタンダードがあって、まだ日本に来ていない分野もある訳です。
それがいつ来るのか?我々のドメイン(事業領域)においてもそれは必ず来るわけです。
そうなった時に、太刀打ちできるのか?相手の戦略を知らずに、ただ待っているだけでいいのか?と。
日本で「籠城」しているよりは、出ていって次の生き延びる手段を見つける必要があります。
私が海外に行っているのは、海外視点で物を見ることができるからです。
2つ目の危機感が、我々がマーケットを取ることができるのか?ということです。
私どもはEDIという事業を行っていまして、世界のスタンダードはアメリカのウォルマートです。
ベトナムのEDIという部分において、どこがスタンダードを取るのか?それは日本が取らないと、私はだめだと思っています。
EDIは情報インフラの中の、商流の根っこの部分ですからここを抑えることができれば、アメリカのソフトと日本のソフトが競い合う時にどちらが取りやすいか?
日本のEDIであれば、日本のソフトですよね。そのために、まずは我々がインフラを抑えなければならないと考えています。
ーありがとうございます。最後に、日本での外国人採用のメリットについてお願いします。
今会社には、ウズベキスタンの方、ベトナムの方の2名が働いています。学生で10月に社員になります。
(海外は秋卒業のため)
基本的には、日本に来て働こうという方は、相応にスキルが高い方が多いと思います。
その優秀な方をしっかりと受け入れる素地が必要になりますよね。
そして、優秀な方々の仕事ぶりを見ながら、我々も仕事の考え方を変えていけるというのは、メリットだと思います。
あとは、言語ですね。今、シベリアの会社と代理店契約をしているのですが、そのネゴシエーターをロシア語で彼らにやってもらっていますし、北海道の札幌にいて、多国籍な社内で英語のコミュニケーションを取れるというのがメリットの一つだと思っています。
ありがとうございました。
株式会社イークラフトマン様のインタビューをご紹介させていただきました。
記事中にはありませんが、ベトナム事業が軌道に乗るまでには、相当なご苦労があったとのことです。その中で得た経験が知恵となり、今に繋がっているとのことです。