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SES事業でIT業界の人材の悩みを解消する|株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン 札幌開発本部 【会員インタビュー】

人口減少時代のいま、あらゆる業界が人手不足に陥っています。IT業界も例外ではありません。一般社団法人北海道IT推進協会「北海道ITレポート 2023」によると、道内IT企業の7割以上が、最大の経営課題として「人材確保・育成」をあげています。SE(システムエンジニア)の不足はとりわけ深刻で、プロジェクトマネージャーや営業も充足していません。そのため、「技術力」「営業力」「企画・提案力」に課題を抱えている企業も少なくないのです。
そんな人材の悩みに応えてくれるのが、「株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン」。札幌開発本部の営業部長 松田和宏さんに、中核事業であるSESについてお聞きしました。


パートナー約100人を抱えるSES会社

-主な事業についてお聞かせください。

株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン(ICD)は、二つのITソリューション事業を軸に据えています。一つが「システムソリューション」。システムやコンテンツの企画から、開発/制作、保守/運用までを手がけています。もう一つが「クリエイティブソリューション」。クライアントとその顧客をつなぐUI/UXを構築します。
この二つのソリューションは、三つの形態——クライアントの現場でプロジェクトに参画する「オンサイト(常駐型)」、東京本社で開発/制作を行う「受託型」、札幌開発本部の「ニアショア」、現地法人ICDベトナムの「オフショア」で提供しています。

いまの札幌開発本部は、「オンサイト」が増え、とくに人材アウトソーシングサービス、いわゆるSES(System Engineering Service)が多いです。クライアントのプロジェクトに合わせて、そのときどきにふさわしいエンジニアを派遣しています。

-どのように人材を確保しているのですか。

いま、札幌開発本部のエンジニアが20人ほど、SESパートナーのエンジニアが100人ほどいます。札幌に拠点が置かれた2013年当時は、自社5人ぐらい、パートナー10人ぐらいでしたから、ずいぶん増えましたね。

人材確保のために何をしたのかというと、コツコツと営業に回りました。10年前は知名度がなく、ICDをまずは知っていただくところから始めたのです。人材の獲得には近道がなく、採用活動とパートナー開拓を地道に続けるしかないと、つくづく思い知らされました。

社員が喜ぶから、「小樽アニメパーティー」

-ICDは、ひとことで説明すると、どんな会社ですか。

社員が喜ぶことをいろいろと取り入れている、なかなか面白い会社です。バースデー休暇や社員旅行、お花見や観楓会、忘年会などの季節イベントのほか、札幌ではスキーやスノーボード、ゴルフなどの催しがあります。若手社員が喜び、積極的に参加しているのは、「小樽アニメパーティー」ですね。

-「小樽アニメパーティー」とは?

小樽アニメパーティーは、ICDの社内行事ではなく、小樽で開催される地域活性化イベントです。観光客の誘致と商店街のにぎわいづくりの仕掛けとして、2014年に始まりました。歴史建造物やグルメといった観光資源と、アニメ・漫画・ゲームなどのポップカルチャーを融合させたおまつりで、小樽の街なかは、コスプレイヤーや痛車(アニメキャラクターなどのラッピングカー)、それを目当てに訪れるファンや観光客でにぎわいます。

主催は小樽アニメパーティー実行委員会、後援は小樽市や小樽商工会議所、小樽観光協会など。弊社の代表取締役社長である神農が、小樽商工会議所とお付き合いが長く、そのご縁から協賛させていただいています。札幌開発本部は当日運営のお手伝いをしているため、社内で希望者を募ると、みんな大喜びで行きたがりますよ。アニメ好きやゲーム好きが多いものですから。

▲「小樽アニメパーティー2023」の様子(写真:小樽アニメパーティー実行委員会)

-今年も開催されますか。

今年は9月7日(土)・8日(日)開催が決まりました。メイン会場の特設ステージでは、声優の高木美佑さんと奥野香耶さんのトークイベント、小樽都通り商店街では30〜35台ほどの痛車の展示が予定されています。ポップカルチャー愛好家は言うまでもなく、そのジャンルにあまり興味のない人も楽しめるのではないでしょうか。小樽運河や旧国鉄手宮線、日本銀行旧小樽支店金融資料館などの観光名所に、アニメや漫画、ゲームから抜け出てきたようなコスプレイヤーが集い、テーマパークさながらの小樽が見られます。

また、いまちょうど協賛企業を募集しておりますので、ご関心があれば、ぜひご検討ください。協賛いただくと、小樽アニメパーティーの公式サイト・ガイドブック・メイン会場などに社名やロゴマークを掲載できます。認知度の向上にお役に立てるかもしれません。

▲小樽アニメパーティー公式キャラクター「かなる」(画像:小樽アニメパーティー実行委員会)

パートナーの営業、クライアントの便利屋さん

-札幌開発本部を開設した経緯をお聞かせください。

札幌開発本部は、2013年7月、「ICD札幌開発センター」として開設されました。東京本社がクライアントのためにニアショア開発を提案し、拠点を探したところ、好条件がそろっていたのが札幌だったのです。東京よりも15%ほど安いエンジニア単価もさることながら、最大の決め手は、ある優秀なエンジニアの存在。その人物は、あらゆるプログラミング言語に詳しく、どんな案件にも対応できるスキルがありました。札幌を訪れた神農が、その才能を見出さなければ、ICDの札幌進出はなかったかもしれません。

-東京のニアショア開発から始まり、SESを手がけるようになったきっかけは?

札幌の開設から1年ほど経ち、営業を強化するにあたり、いろいろな企業を回っていると、いろいろな困りごとを聞くようになります。やはり多いのは、人手不足。エンジニアをはじめ、さまざまな職種で人が足りていないというのです。それを解決しようと動いているうちに、SES案件が増えていきました。もともとICDには「オンサイト」の実績とノウハウがあり、しかも、先ほどの優秀なエンジニアがいましたから、必然の流れだったのかもしれません。

私は、ずっとIT業界の営業畑を歩んできたこともあって、外回りが好きです。企業を訪問して、ご担当者と会話を重ねていくと、ある種の信頼関係ができますから、ときには商談とは関係のない相談を受けることもあります。そんなときは、私たちにできる解決策を考えて、ご提案する。営業職にとっては普通のことを、普通にやっていたら、取引先が増えていました。しかも、弊社のクライアントは情に厚いというのか、ひとつのプロジェクトが完了すると、また別のプロジェクトに声をかけてくれるのです。ビジネスではあっても、ビジネスライクではないところがあり、常駐しているエンジニアたちも働きやすいようで、楽しそうに仕事をしています。

お互いの信頼を積みあげるなかで、クライアントには「ICDに相談すれば、だいたい何でもなんとかしてくれる」、パートナーには「ICDに任せておけば、プロジェクトを決めてきてくれる」と思っていただけているようですね。

-営業体制は?

営業部長の私、マネージャー、サブリーダーの3人体制です。クライアントと自社・パートナー合わせて125人のエンジニアをつなぎ、プロジェクトの完遂をサポートするのは容易ではありません。だからこそ、面白い仕事です。

▲札幌営業部サブリーダーの前田光司さん(左)とマネージャーの赤井畑莉乙さん

私が営業のふたりに伝えているのは、「ICDの営業であると同時に、パートナー企業の営業になりなさい」。パートナーのみなさんがいてこその我々のSESが成り立っているわけですから。そして、「クライアントの便利屋さんになりなさい」。ときには、システム開発とは関係ない仕事でも人材がいないだろうかと、相談されることもあります。目の前のクライアントが困っていたら、なんとかしたくなるものです。困ったときにはICDがいると、頼っていただける存在になれればいいと思っています。

北海道のIT企業が協力しあえる仕組みづくりを!

-札幌開発本部のこれからの展望をお聞かせください。

これから取り組む分野として、「要件定義〜運用」「基本設計〜システムテスト」「詳細設計〜結合試験」「製造〜単体試験」「テスト」を掲げています。とはいっても、未経験の分野というわけではなく、札幌開発本部が受注している主な案件なのです。これまで以上にクライアントの期待に応えられるように、この分野を強化していきます。また、いつかは受託型ソリューションを手がけたいとは思っています。自社もパートナーも関係なく、このオフィスにエンジニアが集結して、クライアントのシステム開発をばんばんこなしていく——。その実現のためには、体制を整えなければいけません。エンジニア125人程度ではまだまだ足りない。ただ、数年後には2倍、3倍になるという可能性は低いとみています。それどころか、減ってしまうかもしれない。それは、ICDのみならず、IT業界全体の危機だと思うのです。

では、どうしていくべきなのか、何ができるのか。それを、ITに関わる者みんなで考えていく必要があるのではないかと、私は思っています。同業者をライバルと見るのではなく、ライバルであったとしても、手を組めるところは組んで、ともにIT業界を盛り立てていきましょうと。ただ、いまのところ、有効な打ち手があるわけではなくて……。それもあって、北海道IT推進協会に入会しました。同じIT業界とはいえ、SES企業だけではなく、さまざまな業種の企業がありますから、いろいろな方々とつながりをもてると思ったのです。交流するなかで、アイデアを出しながら、お互いのリソースや強みを持ち寄り、協力しあえる仕組みがつくれるかもしれないと、期待しています。


インタビューのなかで発せられる松田さんの言葉の端々から、パートナー企業をとても大事にしていることが伝わってきました。その理由は、「パートナーさんがあってはじめてクライアントさんに人材を提供できる」から。それは、同時にクライアントをとても大事にしていることでもあるのだとわかります。この松田さんの理念は、慢性的な人手不足に悩む企業によし、活躍の場を求めているエンジニアによし、両者をつなぐICD札幌開発本部によしの「三方よし」。このあたりにも、「有効な打ち手」のヒントがあるかもしれません。

(取材日2024年6月5日/北海道IT推進協会 広報委員会、ライター 一條 亜紀枝)

[企業プロフィール]
株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン 札幌開発本部
東京に本社を置くITソリューション企業。2013年7月、札幌開発センター(現・札幌開発本部)を設立。SES事業を展開し、北海道のIT業界を支えている。
・代表者/代表取締役社長 神農 渉
・設立年月/2000年11月
・事業内容/SES事業、システムソリューション事業、クリエイティブソリューション事業
・所在地/〒060-0061 札幌市中央区南1条西1丁目4番地 大成札幌ビル3階
・URL/https://www.icd.co.jp
・北海道IT推進協会入会日/2023年7月19日

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