札幌市にデジタル推進担当局ができた!!
今年1月。札幌市の秋元市長が「4月1日付で総務局の局長職としてデジタル推進担当局長(仮称)を新設する方針を固めた。」と、報道されたのは記憶に新しいことと思います。
ついに4月、デジタル推進担当局長に一橋基前経済観光局産業振興部長が就任されました。
「これからやるぞーーーー!」というタイミングではありますが、北海道IT推進協会としては、どんなことを行う予定なのか聞かなければいけない!早速、入澤会長とともに伺って来ました!!
プロフィール
行政全体のDXを進めていく部門
入澤会長(以下、入澤):今日はお時間ありがとうございます!そしてご就任おめでとうございます!
一橋局長(以下、一橋):ありがとうございます。いやぁ、入澤さんに初めてお会いしたのは20年前ぐらいですかね。私がエレセンにいた頃だから・・・。
入澤:そうですね。僕がまだ前職にいた頃ですね。
一橋:懐かしいね。ITマスターの事業とかやっていた頃だね。
二人:なかなか感慨深い・・・。
入澤:長くなってしまうので(笑)、 デジタル推進局は総務局の中にある形なんですね!
一橋:そうです。今年度は一旦、総務局の中に(デジタル推進担当局長を)置いて、もう少し時間をかけて組織のあり方を検討していきましょうというところです。なぜ総務局なのかというと、札幌市の基幹システムを所管し、新組織の中で一つの柱となる情報システム部が総務局にあったということもありますが、そこに、ICTに関する札幌市の政策の立案・推進を担ってきたまちづくり政策局ICT戦略推進担当部がスマートシティ推進部として合流し、さらには、マイナンバー関連を所管する住民情報課(旧 戸籍住民課)も一緒になり、デジタル推進担当局となりました。
入澤:すごいですね、現在は何人ぐらいの組織ですか?
一橋:大体100名程度の組織です。単独の局でという議論もありましたが、先ずはこの形でということでスタートしました。総務局と聞くと、内向な感じがするかもしれませんが、私達が行政窓口や市民サービスのことだけをDXしていく部門なのか?というとそうではなく、例えば行政改革というテーマの中で、事務の効率化や市民サービスの向上につなげていく部分は、同じ局の中にある改革推進室というところと連携して進めていくということになりますし、当然行政全体のDXを進めていくこととなります。
今年一年はロードマップを作る年
入澤:今、ロードマップとしては今後どういうイメージなんですかね?今年1年はどういうことをやるんですか?
一橋:今年は、その計画を作る年。まずビジョン作って、そのビジョンに基づいた具体的な計画を作っていくという段取りとなります。
入澤:今デジタル関連法案とか、色々国会で審議しているものが決まったらまたそれに準じてとなるんですかね?
一橋:そうですね。それは絶対ですね。
入澤:国が決めた仕様だと、一元的に国がやるみたいな話になってきているじゃないですか。そうなると、地方自治体のシステムを作っている人たちの仕事がなくなrりますよね。でも、協会の中で聞いたら「国が一元化で作るのは無理だ」という意見も結構多くて、例えば〇〇町は子ども手当がないけど、▲▲町は手当があってとか、市町村によって社会福祉の充実度合いが違うので、一元的にコントロールできるように仕様で切っていったら大変じゃないかと。
一橋:細かな仕様まで全て国が決めるということは難しいと思います。業務標準化や様式の共通化など、どこまでできるかなという状況ですね。
1つのシステムを(国が)作って、「全てクラウド上で使ってね」という風にはならないと思うんですよね。ただメリットもあって、福祉系の法律とかって毎年のように変わっているんですよね。その度にシステム更新が必要になり、都度、莫大なお金がかかりますよね。国が(システムを)作ってくれるとなると、そのシステム更新費用がかからなくなる。でも、逆にいうとそういう仕事がなくなるっていう話にもなります。ただ、IT系の仕事ってそこをやるってことじゃなくなっていくと思うんですよ。今言ったみたいな自治体特有でやっていかなきゃいけない部分を、地域のアプリケーションとして作って、それをクラウドにつなげるみたいなことをやっていかなきゃいけないと思うんですよね。今後の仕事としては。
入澤:そうですね。これからの基幹のあり方としては、大きな基幹がどーーーーん!と一個あるっていうんじゃなく、アプリケーションみたいな小さいものをAPIで繋げられるように作るという構造じゃないと、DXらしい構造にならないんですよね。
一橋:絶対にその発想だと思います。そうじゃないと地域に合ったこともできない。その(繋ぐ)ルール決めは国がやるっていうことではないかなと思います。今もそうですけど(地方ごとに)アプリってたくさんあるじゃないですか?でもそれらが全くつながってない。そのへんが今後どういうふうに横でつながっていくのかなーって思うよね。
入澤:僕が今回(札幌市のデジタル推進に)期待しているのは、財政局と同じだと思ってるんですよね。会社って必ず経理とかお金を管理する人がいて、横串で見てますよね。システムもそうであるべきだと思っているんです。だから福祉にシステム担当が居るとか、建設にシステム担当が居るとかじゃなくて、横串で組織を担ってくれると、横串のアプリも一元的に(システムを管理してる)部門が作るから、重複した変なのができたりしないっていうふうになるかなって思うんですよね。
一橋:システムを作るのはそれぞれが別にやっていいと思います。でもそれを、ここ(デジタル推進担当局)が把握していなきゃダメで、ここがきちんとそこに口を出さなきゃダメだし、どういう形にしていくのか決めなきゃいけないと。そういう形を作っていくのがこれからなんじゃないかなって思います。
行政DXって大きく分けて二つあって、一つは、市民サービスに直結するシステム周りやデータ関連のDX。もう一つは、基幹システム含めインフラ周りとかもDXしなければいけない。前者は地域としてのDXですよね。後者の行政の内側DXは、これから国がやろうとしていることに合わせていけばできますが、地域のDXってすごい大変だし、我々はその部分をしっかりやっていかなきゃならないですよね。
札幌だからこその強みを活かす行政DX
入澤:それもデジタル推進担当局の範囲になるんですか?
一橋:もちろんなります。市役所自体をDX化しながら、街全体をDX化していくといことが、私達デジタル推進担当局の役割です。
入澤:なるほど。市民の方々からは、デジタル推進担当局に対して、何が一番期待値が高いんですかね。
新岡:保育園に出す紙のデジタル化やってほしいです!!毎年変わらないのに、同じことをずっと書かされて、すごいしんどいんですよね。
一橋:その辺のことは絶対にやらなきゃだめですよね。(札幌市の)ICT戦略って5年前に作ったのですが。その戦略の中で何がメインかと言うと、ビッグデータ、オープンデータの活用です。そこが新しい我々の部署で”地域づくりにおけるDX”をやっていく上での根っこになります。例えば提出書類のデジタル化とかの他に、データを活用した除雪の効率化とか、そういったことも合わせてやっていかないと、もったいないなーって思います。
入澤:そうですよね。
一橋:札幌市の強みというか売りとして、そこをやれる人たちがいっぱいいるじゃないですか。大学にも民間にも。そういう人たちと距離が近くて、一緒にやれる市町村って、全国見てもそんなにないですよね。やりたくても(どう相談していいかわからないから普通は)できない。だから何かやろうとすると、大きいベンダーさん呼んで相談ってなりますよね。札幌の場合、最初に相談する相手が大学の先生や入澤さんのような地元のIT企業の社長だったりするわけで、ちょっと違う。これは1980年代からIT産業を推進してきたという歴史があるからなんだろうなと思います。他の地域じゃできないですよね。
入澤:そうなんですよね、やっぱりそれが根付いているからこそできることですよね。
一橋:大学にも面白い先生がいっぱいいて、連絡も普通にメールしたり、スマホでメッセンジャーとかLINEだったり、「ちょっといいですか?」って連絡できる間柄じゃないですか。
入澤:あと、一橋さんは、SNSとかすごい活用されていて、行政の人ってSNSはあんまりやらないですけど本当に積極的に発信されてますよね?
一橋:どんどん発信していったらいいって思うけど、行政の人たちって基本まじめなんですよね(笑)。「発信して、できなかったらどうする?」ってなる。できなそうだったり、予定が変わったらそれも理由をつけてちゃんと発信すれば良いと思うんですよね。言わなかったり、発信してないと、何もやってないと思われちゃうじゃない? みんなどんどんSNSとか活用して発信していったら良いと思うんです。もちろん「これは言ったらダメ」というルールは必要だと思いますが。それ以外のことはどんどんやりなさい、みたいな。
そういった意味でいくと、今回のデジタル推進担当局には外の人に参画をしてもらうのも良いかなと思ってるんですよ。外部委員とかだけじゃなくて、定期的にサロンのようなものでも良いんですが、旬な話題とかをフランクに話し合えるような環境を作るとか、そもそもの計画策定のときから関わってもらうとか、市役所以外の人達にも関わってもらって推進していきたいと思っています。
入澤:ありがとうございました!今後のご活躍を楽しみにしております!
入澤取材後記