令和3年度不動産鑑定士論文試験/鑑定理論第3問/解答速報(解答骨子+ポイントコメント)
はじめに
不動産鑑定士試験受験生の皆さん、こんにちは。
税理士・不動産鑑定士の井上です。
本日令和3年8月16日午前に実施された令和3年度不動産鑑定士論文試験の鑑定理論第3問の解答速報(骨子+簡単なポイントコメント)を以下ご紹介します。
なお、問題は山口先生のブログにアップされていますのでそちらご参照ください。
解答速報(骨子+簡単なポイントコメント)
第3問 新規地代の積算法
(1)積算法の定義
基準べた書き、算式は以下の通り。
積算賃料=基礎価格×期待利回り+必要諸経費
(2)更地の最有効使用=高層店舗付事務所地、使用目的を低層店舗に限る借地契約が結ばれる場合の基礎価格の算定方法
➀基礎価格の査定方法
取引事例比較法でまず更地価格を査定する。
➁契約減価の反映
契約減価を反映する。契約減価の査定方法としては、階層に応じた地価配分率を更地価格に乗じる方法、慣行割合として求めた更地価格に対する条件変更承諾料割合を更地価格に乗じる方法、予定建物に基づく収益価格と最有効使用の想定建物に基づく収益価格差で求める方法などがある。
③底地価格とする場合
借地権の取引慣行が成熟している地域で、契約時に権利金が授受されている場合等には、更地価格から借地権価格を控除した底地価格を基礎価格とする場合もある。
(3)➀収益還元法の還元利回りと積算法の期待利回り定義・違い
定義は基準・留意事項からべた書き。
違いは期間概念の違いからくる将来リスクの考慮期間が異なること。一般的に不動産が消滅するまでの全期間に対応する還元利回りの方が賃貸借期間に対応する期待利回りよりも大きくなる傾向がある。
(3)②期待利回りを求める方法
書き出すときりがないが、実務上は、類似の新規土地賃貸事例が入手困難比準利回りが求められないケースが多く、地価公示の基本利率・還元利回りを補修性する方法が考えられる。仮に新規土地賃貸事例の利回りが把握できても表面利回りである場合が多く、そのまま使うのはNG。
(4)必要諸経費2項目
➀土地公租公課(固定資産税・都市計画税の実額把握に努める。賃借人でも役所に土地固都税の開示請求が可能。)
➁管理費(支払地代Xとおき、X*管理料率(5%とか)としておき、最後に一次方程式を解く。)(ただし、実際には管理費なしの場合も多い)
所感
新規地代の問題なので、家賃の内容を書いても点数にならないので注意ですね。各問において新規地代である点を意識して解答作成することが大事かと思います。
あとは、基準丸暗記しているだけだと、解答用紙2枚が全然埋まらないのではないかと思います。そこで、あえて上記ポイントでは基準にない実務チックな項目もいれてみました。
(2)と(3)あたりができる人とできない人で差がつく問題かと思います。
はじめまして。ご訪問ありがとうございます。開業税理士の井上幹康と申します。